どうサポートする?ご家族がいる場合のお一人様サポート事例
■お客様の前提情報
今回の事例はクライアントとなる太郎様(仮名)の保険担当者様よりご相談いただきました。
太郎様のお子様は3人。配偶者の方は既に亡くなっている状況です。
◎太郎様(80歳)の財産
不動産(土地/建物) 5,000万円
預貯金 1億円 計:1億5,000万円
「お子様がいるのであれば、お一人様ではないのではないか」
と思われるかもしれませんが、本件の場合、
次女が海外在住であり、長女・三女も遠方に在住していたため、
身近でサポートできる方がいませんでした。
このように、お一人様サポートの対象となる方は、
必ずしもご家族がいない方だけとは限りません。
まず、「お一人様サポート」とは別でご提案した生前対策についてご紹介します。
■ご提案①:家族信託
上記の前提受条件を踏まえ、
弊社がまず太郎様にご提案したのが「家族信託」です。
太郎様からも家族信託が可能であれば是非お願いしたいとご依頼をいただいていたため、以下のように取り決めを行いました。
<信託財産>不動産(土地/建物) 5,000万円、預貯金 5,000万円
<受託者>ご長女
太郎様は、長女、または三女であれば
どちらが受託者となっても問題ないというスタンスでした。
しかし、全員での面談を行った際、
長女の桜子様(仮名)がお父様の今後のことをとても深く調査されており、
弊社としても桜子様が受託者として適任ではないかと考え、ご提案しました。
このように、【受託者の選任】一つとっても、
全員の「納得解」を選ぶことが重要です。
今回のご家族の場合、お一人様サポートももちろん必要ではありますが、
【財産の管理ができる人がいる】ため、家族信託も併用する形としました。
■ご提案②:遺言
お気づきの方もいらっしゃるかとは思いますが、
本件では遺言がとても重要となります。
◎本件での遺言の必要性
家族信託の際に【預けた財産】については、
信託の終了時(委託者兼受益者の死亡時)に承継先を定めることによって
遺言と同じような効果を得ることができます。
しかし、【預けていない財産】に関しては、
信託では承継先を定めることができません。
(今回だと預貯金5,000万円が該当します)
更に、今回は相続人の一人である次女が海外に在住しているため、
遺産分割協議書の作成にあたっては
実印に代わるサイン証明書の取得も必要となり、
遺言を残しておかなければ手続きが煩雑になってしまいます。
今回に限らず、
万が一、相続が発生した際、
相続人の方々がスムーズに相続を進めることができるよう、
遺言が必要なケースであるかを見極め、ご提案しましょう。
■ご提案③:お一人様サポート
お一人様サポートの中でも今回は
・見守りサポート
・身元保証
・生活事務支援
のご提案をさし上げ、実行に至りました。
例えば、太郎様が介護施設に入居するための費用を支払う等、
大きな金銭の入出金や管理は遠方にお住まいの親族でも
サポート可能ですが、
日々の細かな生活費となると、
サポートしきれない業務がどうしても出てくることかと思います。
今回は、ご家族が健在であっても、手の届かないサポート、
そして、もしもの時に身近に専門家がいるという
安心感をもっていただくために上記の3つが必要であると判断し、ご提案しました。
今回のように、
お一人様サポートは頼れる親族が存在しないというケースだけでなく、
ご家族が遠方にお住まいのケースや、ご家族と絶縁状態であるケース、
ご家族が兄弟/姉妹しかいらっしゃらないケースなどでも活用できます。
■終わりに
ご家族がいる場合のお一人様サポートは、本人の意志に加えて、
ご親族の考えや意見もある程度聴取したうえでサポート内容の設計をしておくと、
サポート終了に伴う親族への報告などがスムーズになります。
もちろん、最も尊重されるべきはご本人のご意向ですが、
最後には親族も当事者として登場することを踏まえて準備を進めて行くとよいでしょう。
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