信託開始の登記は具体的に何をするのか?
ーーー事例ーーー
委託者が保有している自宅不動産を、近い将来、売却をする可能性がある。
しかし、委託者は高齢であり、健康状態や意思能力が将来的に危ぶまれる状況にある。
長男である受託者が、委託者の自宅不動産の信託を受けることとなった。
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■どんな登記が必要か
上記のように、不動産の信託を行う場合は、2つの登記が必要です。
①所有権移転登記
②信託登記
この2点の登記を、1つの申請書でまとめて行います。
①所有権移転登記
共同申請のため、権利者と義務者を記載します。
権利者…受託者
義務者…委託者
②信託登記
単独申請のため、受託者が申請人となります。
■何の書類が必要か
(不動産登記令別表(第三条、第七条関係)65のハ )
信託目録に記載すべき情報とは、主に以下の内容です(不動産登記法97条)。
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・委託者の氏名及び住所
・受託者の氏名及び住所
・受益者の氏名及び住所
・信託財産の管理方法
・信託の終了の事由
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目録情報の提出形式は、基本は電子データですが、紙でもテキストデータでもよく、
また、法令上では、押印・電子署名が不要となっています。
しかし、実務上は、①に出てきた登記原因証明情報に信託目録に記録すべき情報を記載し、押印を行うことで、当事者の意思の確認を行うこととすることが多いです。
登記原因証明情報には、信託目録に記載すべき情報を載せなければいけないわけではないですが、
載せない場合は、お客様が信託目録の内容を確認し、承諾した記録が残りません。
そのため、信託目録の内容をお客様の目を一切通さずに、申請を進めることもできてしまいますが、
認識の相違による後々のトラブルを避けるため、しっかりとご確認いただくようにしましょう。
理想としては、登記原因証明情報の全文をお客様の前で読み上げて、一緒に確認していくことですが、
状況によっては、登記原因証明情報の確認の前に、信託契約書の読み上げを行っていたり、お客様の体力の状態など、信託目録の内容の全文の読み上げを一緒に行うのが難しいケースもあります。
その場合は、要点だけを抜粋してお伝えするようにしましょう。
また、信託目録の内容を書面で提出した場合でも、登記事務を円滑かつ正確に行うため、信託目録に係る電子データを記録した磁気ディスクの提供を求められる場合があります。
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