お一人様問題の派生論点、内縁・LGBTについて
■内縁関係についての理解
まずは内縁関係の解説から進めていきます。
親族相続法領域の実践知識として、
法律上では定義のされていない内縁関係への理解も重要です。
◎内縁関係の成立条件
内縁関係とは、
「婚姻の届出を欠くがゆえに、法律上の婚姻ということはできないが、
男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合である」とされています。(最判33.4.11)
成立要件については、明確な規定はありませんが、
1 婚姻意思があること
2 共同生活を営んでいること
が認められれば、内縁関係として取り扱われる可能性があります。
◎内縁関係に認められる法律関係
通常の夫婦と同様、内縁関係の夫婦にも、
次のような法律関係が認められます。
● 貞操義務
● 同居の義務
● 扶養の義務
● 婚姻費用(生活費)の分担義務
● 内縁関係解消時の財産分与
● 日常家事債務の連帯責任
◎内縁関係に認められない法律関係
上記が認められている一方、
内縁関係の夫婦には、 通常の夫婦と異なり、
次のような法律関係が認められません。
● 相続権(※1)
● 夫婦同姓
● 親族関係の発生
● 子の嫡出推定
● 共同親権
● 夫婦間の契約取り消し
● 遺族年金や、各種配偶者控除の適用
(※1)相続権
内縁関係の場合、お互いが亡くなった際に相続をする権利が認められていません。そのため、配偶者に財産を承継したい場合は、遺言を作成しておく必要があります。
上記の通り、内縁関係の場合、通常の夫婦であれば認められている権利関係が認められておらず、特に相続権がないところは高齢のカップルの場合には大きな問題となりえますので、専門家としてはアドバイスや対策の提案をしておきたいポイントとして押さえておきましょう。
続いてはLGBT問題について解説します。
■LGBT問題に対する取り組み/同性パートナーシップ制度とは?
同性パートナーシップ制度とは、
「各自治体が同性同士のカッ プルを婚姻に相当する関係と認め、
証明書を発行する制度」です。
自治体によってその手続きは異なり、
互いに任意後見契約を締結することを求める自治体もあれば、
申請をすればパートナーシップ制度を利用できる自治体もあります。
同性パートナーシップ制度を導入している自治体は
2023年6月の段階では、全国で300以上あると言われています。
同性パートナーとなることで、病院への付き添いや公営住宅への入居、
生命保険の受取人となること、クレジットカードの家族カード発行が
可能となる、などの生活やサービス利用上の恩恵を受けることができます。
法的観点からも、同性カップルの不貞行為について損害賠償が認められるなど、内縁関係と同様の法律関係を一部認めるような判決も出てきています。
今後、より一層同性カップルに認められる権利の範囲は拡大していくと思われますが、異性カップルとの違いなどは、コンサルをしていくうえで把握しておく必要があるでしょう。
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