オランダの子供の幸福度が高い理由考察
ユニセフが数年に一度発表している、先進国の子供の幸福度に関するリポートの最新版が、先日発表されました。
先進国と新興国の38か国の5歳から19歳の子供を対象とした調査で、「精神的幸福度」(生活の満足度が高いと答えた割合や、自殺率の数値を比較)、「身体的健康」(死亡率や、肥満の子ども・若者の割合を比較)、「スキル」(読解力や「すぐに友達ができる」と答えた子どもの割合を比較)の3項目をユニセフが算出し、最終的に総合ランキングを作成しています。
今回の調査では日本の子どもの「精神的幸福度」がワースト2位だったということで、日本のメディアでも話題を呼びましたね(ちなみに最下位は、意外にもニュージーランドでした)。
私がマガジンを購読している、野本響子さんもこの話題を取り上げられていました。
その一方、私が住むオランダは、総合点および精神的幸福度で1位を獲得しています。比較するとこういう感じです。
【日本】
・総合順位:20位
・精神的幸福度:37位
・身体的健康:1位
・スキル:27位
【オランダ】
・総合順位:1位
・精神的幸福度:1位
・身体的健康:9位
・スキル:3位
日本の場合は、(身体的には1番なのに)心身のアンバランスさが更にセンセーショナルに報道されたようです。
オランダの子供は、確かに幸福だということで知られています。今回ばかりでなく、前々回(2007年)および前回(2013年)のリポートでも「子供が一番幸せな国」にランキングされました。
ただ誤解の無いように少し注釈を入れると、この「精神的幸福度」の調査は以下のような方法で計算されます。
15歳の子どもたちが「今の生活の満足度」を0~10で評価する。
そしてその結果が、日本は4割近くの子供が「5以下」と回答し、オランダでは約1割だったということなのです。中にはスコア「9」や「10」をつけた超ハッピーなオランダの15歳もいたかもしれませんが、私が考えるに「6以上」の「まあまあ幸せ」な子供が多かったのではないかと思います。
「全く不満が無いわけじゃないけれど、まあ悪くない生活だと思うよ」なんて語る15歳が想像できます。
オランダにはもともと「Zesjescultuur」(6点文化)という言葉があり、「10点満点のうち6点取れば進級できるんだから、そこそこでいいじゃない」という風潮があります。
もちろん良いスコアで高校を卒業すれば大学で学部選択に有利に働いたりもしますが、がつがつしないでも平均くらいでいいんじゃない?という文化背景があります。ハングリー精神が足りないとネガティブに判断する向きもありますが、ユニセフのこの調査は、オランダのこういう風潮が反映されているのではないかと私は思います。
さらに以前「グローリア」さんに寄稿したことがありますが、オランダは子供だけでなく大人も87%が今の生活に満足しているという調査結果があります。これは、地続きなのでしょうね。幸せな大人たちに囲まれているから、子供も幸せを感じられるというシンプルな構図なのではないかと思います。そして、成長後の幸せな人生も想像しやすいのでしょう。
更にここでもう一度強調したいのは、オランダ人の想像する「幸せ」は決して派手なものではないという点です。お金よりも「健康、人間関係、仕事」に影響されるようです。
だらだら書いてしまいましたが、オランダの子供の幸福度の理由は「そこそこで満足できる」「社会全体がそこそこ幸せだから」ではないかと私は考えます。
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