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【バードストライク】飛行機と鳥がぶつかるとどうなる?確率や対策は?

今回は、航空機と鳥が衝突するバードストライクについて話してみたいと思います。

ちなみに、航空機に限らず、車や建物への鳥の衝突も全部バードストライクと言うらしいですが、ここでは航空機との衝突に限って話を進めます。

飛行機と鳥が衝突するのを経験したり目撃したりする機会はとても少ないので、本当にバードストライクなんてあるの?と思う方もいるかもしれません。

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が、国土交通省のデータによると年間1000件以上のバードストライクが起きています。

毎日数件くらいは、どこかで航空機と鳥の衝突事故が起きている計算になります。

(ちなみに一番バードストライクしている鳥はトビらしい)

鳥と言えども時速数百キロというスピードでの衝突になるので、航空機もそれなりにダメージを受けますし、当たりどころが悪いと墜落のリスクもゼロではありません。

では、実際のところバードストライクはどれだけの影響があるのか?バードストライクを回避するためにどんな工夫がなされているのか?を見ていきます。

バードストライクが起きるとどうなるのか

実際鳥が当たるとどれくらいのダメージになるのか見てもらった方が早そうです。

動画内に引用できる写真だけいくつか表示します。
(鳥さんが写ってる写真は省きます)

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旅客機のノーズ部分へのバードストライク。

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こちらは戦闘機。ノーズにはレーダーとか入ってるので、いくつかの機能が停止してそうですね。

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F-16戦闘機のキャノピーへのバードストライク。iPhone並にヒビ割れてます。

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ジェットエンジンに吸い込んだバードストライク。ブレードがボロボロですね。こうなったらエンジン1個止めた状態で緊急着陸するなどの判断になりそうです。

とまぁ、こんな感じで鳥との衝突はなかなかのダメージがあるのがわかると思います。

他、衝突シーンの動画などはyoutubeで検索すれば出てくるので興味ある人は探してみてください。

バードストライク対策(設計)

では、バードストライクの対策はどのように行っているのかを見てみましょう。

まず、航空機はバードストライクありきで設計されています。

空を飛ぶわけですから鳥とぶつかるリスクは当然あるわけで、鳥とぶつかるたびに毎回墜落するわけにはいきません。

バードストライクありきで設計するのは当然と言えば当然ですよね。

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例として

・エンジンにニワトリを投げ込んで耐久テスト
・コックピットの窓や翼の前面に高速で鳥をぶつけて耐久度をテスト

などを開発の試験段階で行っています。

もちろんノーダメージというわけにはいきませんが、フライトを継続できる程度の損傷で耐えられるよう設計されています。

では、実際に航空機の運用上どのような対応をしているのか見ていきます。

バードストライク対策(地上)

バードストライクの約半数が地上で起きています。

地上というのは「離着陸で航空機が滑走路を走っているとき」です。

対策方法なのですが、基本的に鳥がいたら追い払うしかないんですよね。

飛行場や国によってやり方は違ったりもしますが、主にバードパトロール方式というやり方で追い払ってます。

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追い払い方例
・車両で追いかける
・空砲
・のろしや花火みたいなもの
・スピーカーで鳥が嫌がる音を出す など

なかなかアナログな方法ですよね。

中には鳥型のドローンを飛ばして追い払う方法もあるみたいです。

追い払う以外の方法としては、飛行場に鳥の餌になる虫が発生しないように工夫したりとか。いろいろ試みてます。

では現場でどのようにパトロールが動いているかと言うと、、

まず、離陸に向けて航空機が滑走路に向かいます。

するとパイロットの目線からでも鳥がいることが確認できます。「あー今日鳥いますねー」とか言いながら離陸の準備を進めるわけです。

(焼き鳥やくなよーとか言ったり)

で、この時、タワーの管制官も滑走路上の鳥を目視しています。

するとタワーから「バードパトロール入れるのでちょっとスタンバイしといて」みたいな指示がパイロットに来ます。

それで滑走路脇に待機しているバードパトロールの車が滑走路上に入ってきて、そのまま車で鳥を追いかけたりとか色々頑張って鳥を追い払ってくれるわけです。

それをパイロットはボーッと見てるという。航空機に乗ってる立場からだと鳥に対して何もできませんからね。

バードパトロールの方が無事に鳥を追い払ってくれたら、「鳥さんたち戻ってくるなよー」と祈りながら離陸して行きます。

空中での対策は?

では、航空機が飛んでいる状態でのバードストライクの対策。

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空中でのバードストライクはほとんどが離着陸時。つまり低高度を飛んでいる時ですね。

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巡航中のバードストライクも無いことは無いですが、だいたい3000ft以下くらいの高度で飛んでいる場合。これは小型のプロペラ機やヘリコプターなんかが飛ぶ高度です。

それでは、空中でのバードストライクの対策、つまり鳥を回避したり避けたりできるか?というと、基本的には無理です。

まず、鳥は小さいのでかなり至近距離にならないと見えません。

で、鳥くらいのサイズだとレーダーにも映らないので、事前に鳥がいる場所を把握するのも難しいです。

仮に衝突する前に鳥を目視できたとしても、その時点ですでに回避不可能な距離になっているはずです。

たぶん時間にすると衝突前1秒以内とかです。感覚的に。

特に離着陸中であれば、鳥が見えたところで下手に航空機を動かすことはできませんし、

巡航中に鳥を見つけて回避操作をしても間に合うかどうかは微妙。もう当たるかどうかは運ですね。

余談

また余談ですが、

訓練での飛行中に鳥とニアミスをしたことはあります。

その時は、いきなり教官が「うぉっ」とか言いながら航空機の姿勢を一瞬変えたんですけど、

それと同時に視界の中をなにかの影がヒュッと通るのを確認できていました。

教官「今の鳥だな・・」
僕「鳥ですね・・」
教官・僕「あぶねぇ・・」

みたいなことがありました。

教官すげぇなって思ったエピソードです。

まとめ

こんな具合で、空を飛ぶのは人間だけではありません。

というか、元々先に空を飛んでたのは鳥さん達なので、運が悪ければ衝突事故もあります。

ただ、確率としては1万回飛んで数回程度ですし、ぶつかったとしてほとんどの場合は問題なくフライトが継続できるものなので、皆さん安心して航空機を使ってあげてください。

それでは、ご視聴ありがとうございました。

参考資料
■2018年バードストライクデータ 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr2_000015.html
■バードストライク対策にかかる国際動向
https://www.mlit.go.jp/common/001227496.pdf
■wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%AF
■航空機への鳥衝突(バードストライク)防止に向けた取組 内閣府
https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/h21kou_haku/gaiyo/genkyo/topics/topic_05.html

Youtube動画版


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