EV航空機の紹介|飛行機を電動化するのが難しい理由と課題
こんにちは。トリムです。
化石燃料とか地球温暖化とかCO2の排出量とかが話題になる昨今ですが、航空機に関しても「電気は?」「EVは?」という声が聞こえてきました。
ということで、昨今の航空機電動化事情について雑談します。
前半で実際に開発が進んでいるEV航空機の紹介、後半では航空機電動化に関する課題を少し説明します。
動画版
電気飛行機・ev航空機(既に飛んでる)
Extra 330 LE/ExtraAircraft
Extra 330 LEは、ドイツのExtraAircraft社が2016年に発表した、 SIEMENSのモーターを搭載した2人乗りのアクロバット機です。
337.50 km/h (約 210 mph) の世界記録を樹立したことで界隈のニュースに取り上げられています。
SIEMENS社の運営するWEBサイトやYoutubeの方で情報が公開されています。
eFlyer/Bye Aerospace
eFlyer 2、 eFlyer 4、eFlyer 800 の3種類。
小型の eFlyer 2・ eFlyer 4 は2020年時点で700機以上の購入予約あり。
――eFlyer 2――
$489,000 (5600万円くらい)
――eFlyer 4――
$627,000 (7200万円くらい)
――eFlyer 800――
電気飛行機・ev航空機(実験・構想段階)
ZA10/ZUNUM Aero
12人乗りのハイブリッドエンジン機の構想段階と思われる。
公式ページを見ても「燃費が向上します!」「静かです!」みたいなPR文しか書いてないので、実際どんな設計になっているのかよくわかりませんでした。
E-Fan/Airbus
エアバス社のE-Fanシリーズ。
大型ジェット機はまだ、ハイブリッドエンジンの開発段階。この他にも小型プロペラ機や有人ドローンみたいな機体も開発しています。
N3-X/NASA
「N3-X」のコンセプト
「ハイブリッドウイングボディ」あるいは「ブレンデッドウイングボディ」と呼ばれています。燃費や騒音、排出ガスの劇的な削減が期待できるデザイン。
コンピュータシミュレーションや風洞実験を通して、実際に効果が得られるかどうかを検証しています。
SUGAR /NASA×Boeing
SUGAR:Subsonic Ultra Green Aircraft Research
亜音速超グリーン航空機研究
電動化だけでなく、グリーン(エコな)航空機の研究
この変わった翼型もなんかいいらしいです。(どういいのかはわからん)
ここまで海外の航空機ばかりでしたが、日本のEV航空機はないのか?
国内だと航空機を作る組織が限られるので、最先端を進んでいるのはおそらくJAXAになります。
JAXA
2030~50年代の実用化を目指して研究中とのこと。
JAXAのWEBサイトに電動航空機の特集ページがあります。「そもそも航空機はどうやって電動化するの?」という話を分かりやすくまとめてくれています。
是非覗いてみて下さい。
https://www.aero.jaxa.jp/spsite/eclair-sp/
航空機ev化への課題
冒頭で紹介した事例を見たら気づきますが、実際に空を飛んでいるEV航空機は小型のプロペラ機のみです。
中型〜大型機はまだ実験か構想段階。実験と言っても複数のエンジンのうち一発だけを置き換えてテストしている感じです。しかも、置き換えるのはモーターではなく、エンジンとモーターのハイブリットです。
オール電化には程遠い段階と言えます。航空機の電動化は、エンジンをモーターに載せ替えるだけで済むような簡単な問題ではないということですね。
電気飛行機を作るためにはどんな課題があるのか少しだけ紹介。
バッテリーの重量
航空機を電動化するにあたって最も困難な課題の1つはバッテリーの重量です。
普通に生活しているとバッテリーの重さってあまり気にしたことがないかもしれませんが、実際のところバッテリーというものはかなり重量がります。
この重さが空を飛ぶ乗り物にとっては致命的なわけです。
バッテリーの重さをイメージしやすいようにちょっと例を出します。
3台はだいたい同じサイズ感(全長・車幅)なのですが、バッテリーを搭載するに従ってめちゃくちゃ重くなっているのがわかるかと思います。
あと、ミニ四駆とかラジコンカーとか触ったことがある人なら、車体の重さに対してバッテリー重量が占める割合が大きいことがなんとなくわかるかと思います。
つまり、航空機の設計以前に、バッテリーとかモーターの技術が進化しないと航空機の電動化は難しいということ。実際に今飛んでいるEV航空機は、それ用に開発されたモーター搭載されています。
航空機の基本設計から変わる
いくつか例を出したように、中型〜大型機の構想では、中身がバッテリー&モーターに置き換わるだけでなく、航空機の外形がかなり変わっています。
推力をジェットエンジンからモーターに置き換えるには、既存の航空機の形状をそのまま踏襲するわけにもいかないというのが理由の1つ。
もう一つの理由は、そもそも航空機の電動化だけが目的ではないということ。
最終的には目的は、化石燃料の消費量を減らすとかCO2の排出量を減らすとか燃費を良くするみたいなところです。
この目標を達成するための手段の1つが電動化です。
ですので、よりグリーンな航空機を目指して、機体や翼型の設計も合わせて研究されています。
なんなら、別に電動化じゃなくてバイオ燃料とか水素エンジンとかの方向性で環境問題が解決されるならそれでいいわけです。
例えば、JAXAでは水素エンジンの開発も進めています。
例えば、ミドリムシで有名なユーグレナ社が作ったバイオジェット燃料を使って、HONDAジェットを飛ばしています。
電動化だけを目指しているわけでもないので、今後どの方向に進んでどこに落ち着くのか、いつごろ航空機の電動化が完成するのかはまだまだわからないよねという話。
まとめ
僕自身、研究レベルの話は全然詳しくないので、燃料とか電動化とか詳しい人がいたらコメントで補足してくれると有り難いです。
EV航空機も楽しみではありますが、個人的にはどこでもドアの完成を心待ちにしています。
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