【パイロットの資格】最低限3つの資格・証明がないと飛行機は飛ばせない
今回はパイロットになるための資格について説明してみたいと思います。
「パイロットの資格」ではなく「パイロットとして航空業務に従事するために必要な資格」という言い方が正しいかもしれません。
パイロットに最低限必要な資格は3つ
・航空従事者技能証明
・航空身体検査証明
・無線
この3つに加えて、業務の内容によって必要な資格が追加されます。
色々取らないといけないので大変ですね。
それでは、それぞれどんな資格なのか詳しく見ていきましょう。
航空従事者技能証明(ライセンス)
まずは航空従事者技能証明です。航空法で定められています。
■航空従事者技能証明の種類
航空機の「運行」をするのがパイロット。
その他、航空機の整備とか通信を行う人も「航空従事者技能証明」を取得しています。
■操縦士の資格の違い
パイロットとして仕事をするなら事業用操縦士以上の資格が必要です。操縦士の資格の違いをざっくり。
定期運送用は事業用、事業用は自家用の上位互換になっていて、下位の資格の業務内容も含まれます。
定期運送用を持っていれば、事業用ができる業務もできるということですね。
「報酬」「無償」という言葉がわかりにくいので説明します。
「報酬を受ける」とは航空機を運行することによりお金(給料)を貰えるということ。
「無償」とはお金をとって乗客を乗せられるかどうかだと思ってください。
遊覧飛行・農薬散布・航空写真撮影飛行などの「報酬」は受けるけど、お客さんから料金を頂いて乗せることはしない業務であれば「事業用操縦士」の資格で可能です。
ですので、一般的に旅行や出張で乗る飛行機の「機長」は「定期運送用操縦士」の資格を持っています。「副操縦士(コパイロット)」は「定期運送用」を持っている人がやっていたり「事業用」だけ持っている人がやっていたりです。
ちなみに、職業パイロットの場合は一旦「事業用操縦士」の資格を取得して、飛行時間などの条件を満たしたうえで「定期運送用操縦士」の試験を受ける形になります。
■航空従事者技能証明の試験内容
技能証明の試験内容は学科試験と技能試験があります。車の運転免許も同じですよね。
日本では資格の管理をしているのがどちらも国土交通省ですし、似たようなものです。
車の免許と比べて、勉強する内容や試験を受けるまでの訓練内容が多くなった「運転免許試験の飛行機バージョン」と考えていただければいいと思います。
自動車学校であれば5回くらい路上教習をして試験を受けるのに対して、事業用操縦士は200時間以上の飛行時間でようやく受験資格を得られるような違いです。
この辺は詳しく語ると長くなるので、また別の動画で説明したいと思っています。
航空身体検査証明
続いて航空身体検査証明。
航空身体検査証明は1種と2種があります。
1種:事業用・定期運送用操縦士
2種:自家用
基本、半年に1回か1年に1回の頻度で航空身体検査を受けます。年齢や業務内容によって身体検査証明の有効期限が変わります。
航空従事者技能証明を取得していても身体検査に合格し続けないとパイロットはできません。
正直、これがパイロットになるのが難しい理由の一つです。なぜなら、努力でどうにかできるものではないから。
例えば、某男性アイドル事務所に入るにはまずルックスがよくないと、歌やダンスの練習をする機会すら得られない。そんなイメージ。
ルックスならまだ整形という手段がありますが、パイロットの場合は「視力」や「心電図」や「脳波」みたいな自分ではどうしようもない内容で落とされます。
しかも地上で一般的な生活をしている分には「全くの健康体」という人が、航空身体検査だとよくわからない項目のよくわからない数値でアウトになってしまいます。
航空身体検査でしか調べないような項目や基準で合否が来まるので、正直こればかりはどうしようもありません。
仮にパイロットになれても、数年後に航空身体検査証明が取れなくなったら飛行機を降りることになります。怪我や故障で離脱するリスクがある部分はアスリート的でもありますね。
航空無線通信士・航空特殊無線技士
パイロットは航空無線を使うため、無線の資格も必要になります。
無線関連については電波法にて定められています。管轄は総務省。
パイロットは航空従事者であり無線従事者でもあります。国家資格を2つもとらないといけないので大変ですね。
さて、無線の資格は2種類。
航空無線通信士と航空特殊無線技士があり、航空無線通信士の方が上位資格です。
搭乗機種や業務内容によってどちらかの資格・もしくは両方取得しますが、とりあえず無線の資格も必要だと思っておけば大丈夫。
試験科目や学習内容はこんな感じ。
ちなみにフォネティックコードはこんなもの。
アルファ・ブラボー・チャーリー・デルタ・フォックストロット・・
5をファイフ、9をナイナーと発音したりします。
無線通信で聞き間違いが起こらないように作られているやつ。
ここまではパイロットになるなら最低限みんな持っている資格でした。次からは必要に応じて取得する資格を紹介します。
計器飛行証明
航空機には2種類の飛行方式があります。
・計器飛行方式 IFR:Instrument Flight Rules
・有視界飛行方式 VFR:Visual Flight Rules
計器飛行方式(IFR)で運行する場合に計器飛行証明が必要です。
2つのフライトルールの違いをざっくり説明。
名前の通りですが、VFRは目で外を見て飛ぶ方式。IFRは管制官の指示に従って計器を見て飛ぶ方式。
計器飛行方式の方がフライト可能な気象条件が広かったり、高高度を飛べるので、一般の人が乗るであろう旅客機(エアライン)はほぼIFRで飛んでます。
有視界飛行方式は自家用やヘリなど低空飛行で飛んでいるもの。航空写真撮影とか送電線パトロールとか農薬散布とか。
ちなみに有視界飛行方式は飛べる天候が限定されるので、例えばVFRで飛んでいるときに雲に入ったらめっちゃ怒られます。
IFRとVFRの違いについて詳しくは別の動画で。
ということで、エアラインパイロットとして働く人はいずれ計器飛行証明の取得も目指さなければいけません。
航空英語能力証明
国際線の運行をする場合に必要な資格です。
国内線で日本人同士でなら航空用語(ジャパニーズイングリッシュ的な発音)で会話できるけど、海外の人相手だと一定レベルの英語力が必要ということですね。
これはパイロットになったあと、国際線に乗るという話が出てきたら考えたらいいと思います。
ちなみにフライト中に米軍の管制官と話したことがありますが、なに言ってるか全然わからない。アメリカ人は話すの早いし、話し方が不親切。
パイロットに必要な資格まとめ
・航空従事者技能証明
・航空身体検査証明
・無線の資格
・+α
電波法
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325AC0000000131
エアバンドを聞いてみよう 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr14_000016.html