【No.15】採用工学のススメ ~学歴採用・顔採用・コネ入社、全部あることを認めてしまおう~
No.15
━━━━━━━━━━━━━━採用工学のススメ━━━━━━━━━━━━━━━━
学歴採用・顔採用・コネ入社、全部あることを認めてしまおう
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みなさん、こんにちは。藤原ユウマです。今週も採用工学のススメをお読み頂きましてありがとうございます。
読者のみなさんはこの一週間で仕事始めを迎えた方も多かったのではないでしょうか。4日、5日くらいから始業する企業が多いようですね。同時に、インフルエンザも流行り始めているようなので、みなさん体調管理にはくれぐれも気をつけてください。
さて、年始に戻った話になりますが、今年のお正月に早速印象的なイベントがありました。箱根駅伝での青山学院大学陸上競技部の優勝ですね。それもただの優勝ではありません。箱根駅伝3連覇、史上4校目の大学駅伝3冠という箔付きの記録となりました。現在は、大学駅伝界屈指の強豪校になりましたが、かつては箱根駅伝の予選会でさえ通過できませんでした。お世辞にも強豪校とは言えない大学の陸上部を、ここまでの存在に高めたリーダーこそ、監督である原晋さんであることをご存知の方は少なく無いでしょう。
彼の経歴を調べてみると興味深く、一般企業から同校陸上部の監督に転身しています。ご自身も元陸上競技・マラソン選手として活躍して、中学・高校・大学と実績を出されたアスリート。大学卒業後は、中国電力に入社して競技を続け、主将として全日本実業団駅伝初出場に貢献するも、故障が続いたこともあって27歳で選手生活を引退。
その後は、同じく中国電力で営業職のサラリーマンとして10年間ビジネスの場に身をおくことになりました。アスリートとして感じたことに加えて、全く別の環境であるビジネスの場で感じたことなどから、旧態依然とした大学競技界や部活組織の常識にとらわれずに、どんどんとメスを入れていく手腕を発揮しています。
実際、インタビュー記事などを読んでみると、青学陸上部は部活組織というよりは、もはや会社組織のようであり、指導方針も極めてビジネスにおけるそれと似ています。ビジネスパーソンがすぐにでも応用できて、学びがあるような組織づくり、人間作りをしているのです。
原監督の基本とする教育理念は「自分で考えて行動できる人間を育てる」という趣旨とのことです。例えば、マネージャーが選手のコンディションや天候などを見て、原監督にその日の練習開始時間を進言する、といったエピソードがあるほど、陸上部というチームで一人ひとりが考えて行動するように育てています。圧倒的な成果を出すチームに育てるためにとった戦略が、身体能力やマラソン戦術といった一般的なポイントとは一線を画した「チームが考える集団になる」ということだというのは興味深いですね。
一方で、定められた規律はしっかりと遵守するように部員には求めていたそうです。例えば、時間厳守。陸上はタイムを競いあうスポーツであり、1秒の差で非情にも涙をのむことが起こりうる世界。集合時間など、社会人としても最低限守らねばならないと言われて来た規律は徹底して守り抜く。その上で、過度な上下関係のない自ら考えられる集団を育てていくという流れだったとのことです。
原監督の指導者論は、自身が現役アスリートだった高校時代の軍隊的な厳しい上下関係とその真逆の緩すぎた大学生時代、そして競技者をやめてからの社会人時代の苦労があったそうです。そして、競技という画一的な視点のみならず、ビジネスパーソンという経験も経た後、監督という立場で陸上界に復帰した原監督はこう思ったそうです。
「陸上界に戻ってきたときは、逆の意味で、驚きました。私の現役時代と変わらない常識が通用し、指導法もまったく変わっていなかったからです。時代は確実に変化し、人間の思考や行動も変化しているのに、陸上界は何も変わっていない。私から言わせると、それは『退化』でした。」
ここまでの原監督の指導論や戦略論をなぞってみるとよく分かるように、考え方の根本はビジネスのフィールドにそっくりそのまま置き換えられますね。変わらない時代錯誤の業界常識を、異なる業界から来た指導者がリーダーシップを存分に発揮しながら改革していき、時代に合った強い組織にしていく。
そして、その中心戦略は、かつての時代では「ボトムアップ」、最近では「当事者意識」や「自律・自走型人材」と言われているような、表面的な流行り言葉としては形を変えていますが、「自ら考えて行動できる人材」を育てていくということだった訳ですね。原監督自身、その戦略の実現には時間と忍耐がいることを認めていますが、その分の見返りを十二分に大学に返していると思います。
ビジネスフィールドで、経営者や管理職として、会社や部下の成長に今ひとつ満足できずに悩んでいる方は、この原監督率いる青学陸上部をベンチマークしてみると良いでしょう。
そして、進化を続けるチームの進化を続ける監督は、自身の役割が変化していることにも言及しています。
「ここまで成熟したチームになると、監督が前面に出る必要はなくなります。成熟するまでは教える立場ですが、成熟したチームになると、変化を感じ取るのが主な仕事になります。」
世の中は諸行無常で盛者必衰とはあらゆることに通ずる真理で、常に周囲から最新情報を取り入れたりしながら、試行錯誤して変化していく人材やチームがやはり強いのですね。
青学・原監督「管理職の仕事は管理じゃない」
http://toyokeizai.net/articles/-/151440
箱根3連覇に挑む青学、その強さを生んだ「体育会らしからぬ」指導法
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50633
さて、それでは今週の内容です。
【今週の目次】
1.学歴採用・顔採用・コネ入社、全部あることを認めてしまおう
2.今週のトピックステーマ
3.気になるアイテム
4.お悩み人生相談 Q&A
5.読者感想コーナー
6.終わりに
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1.学歴採用・顔採用・コネ入社、全部あることを認めてしまおう
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