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【救急疾患を知ろう】 劇症型溶連菌感染症

どうもみなさん、救急医のかたかたです🚑
日々活用できる、知ってて自慢できる救急の知識を提供しています👊🏻

今回は、劇症型溶連菌感染症について説明します。
最近ニュースでこの話題が賑わっていましたね。
聞くとめちゃくちゃ怖いし、心配になりますよね。
正しく知識をつけてもらうため、今回このテーマを選びました。
正直いってメディアは煽りすぎです。そのせいでなんともないのに、この病気を心配した患者による救急搬送や外来受診が増えました。
知識をつけるために、しっかり勉強していきましょう!

結論

劇症型溶連菌感染症は誰にでも起こりうる怖い病気で、主に傷からの感染による皮膚感染症を示す。ただし罹患率は高くなく、適切な傷の処置を行うことで大部分は予防することが可能。
この病気を疑ったら救急車で来院を。


劇症型溶連菌感染症の概要

どんな病気?

劇症型溶連菌感染症って名前が難しいですよね。
ひとつずつ読み解きましょう。
劇症型というのは極めて激烈、つまり重症ということです
溶連菌感染症とは名前の通り、溶連菌に感染しているということです。
溶連菌はみなさんよく聴きますよね、子供がいらっしゃる方には聴き慣れた名前で、扁桃炎が有名ですね。大人もよく発症します。
つまり重症な溶連菌感染症ということです。
溶連菌感染はかなりざっくりですね、詳しくは皮膚や妊娠関連の病気が該当するのですが、ちまたで話題になっているのは皮膚感染症のほうです。
皮膚といっても具体的には皮膚よりも下にある軟部組織で、脂肪組織・筋肉組織などが該当します。脂肪や筋肉が感染を起こすと言うのはあまり感覚がわからないですよね。ちょっと説明が難しくてうまくできませんが、打撲した時も実際は炎症を起こして腫れているので、状態としては近いところがあるでしょう。
総じて言うと、溶連菌による重症の軟部組織感染症ということです

感染経路は溶連菌を持っている人からでた飛沫(唾など)などが、体の傷口などにかかることで感染します。
ただし、傷がなくても生じることがあります。

どんな人がなりやすい?

医学を多少知っている人は、「はいはい免疫が低下している人がなるんでしょ?」となるでしょうか。
残念ながら誰にでもなりうる病気です。
もちろん症状の程度や進行速度は免疫状態に関わっているかもしれませんが、病気自体は誰にでもなるのです。
リスクとなりうるのは以下です。

  • 外傷

  • やけど

  • 肥満

  • ロキソニンなどの鎮痛剤使用(NSAIDsというものです)

  • 直近の手術歴

  • 易感染性(HIV感染、糖尿病、癌) など

世界的には10万人あたり3.5人程度と稀な病気で、東京では大体年間百数名といわれていますが、ここ最近騒がれている理由はこの数が半年ですでに上回ったからでした。
ただし、コロナなどと違いアウトブレイク(大量の人が発症)は通常起きないと言われています。

そして重要な点として、聞いてもらいたいことがあります。
今までみなさんたくさんの怪我をしてきましたよね?
ちゃんとよく洗い清潔な状態にしていた人もいれば、砂をかければ早く治るみたいなおばあちゃんの教え?的なことをしたことがある人もいるでしょう。
いずれにおいても、この病気を発症した人はほとんどいないのではないでしょうか。
そう、つまりはそう簡単になる病気ではないと言うことです。そして怪我をしたら適切な処置(よく洗うなど)することで発症リスクは大いに抑えられます
ここだけは知っていてください。

どんな症状?

通常、急に(長くとも数時間程度)現れる痛みで、腕や脚などの四肢に起こりやすいです。筋肉痛の強いバージョンみたいな感覚です。
他には発熱したり、皮膚に水脹れ(水疱)ができたり、紫色の皮疹(紫斑)が現れたりします。
また、意識が悪くなることもあります。
進行が早く、致死率は30〜60%とかなり高いです。
なったとしたらとても怖い病気です。ただし、発症率は低いです。


劇症型溶連菌感染症を疑ったら

上記にあるような症状を認めた場合はすぐに救急車を呼んでください
というか、この病気を想定できていなくても、本当に全身が悪くなっている人が多いため救急要請をしているのではないかと思います。
それくらい急激に進行するものが多いと思っていてください。

なので怪我をしただけでこの病気を心配して救急車を呼ぶのは控えてください。
傷をよく洗う、手洗いうがいをしっかりする、傷口には絆創膏などを貼り定期的に張り替える(1日1回以上)などをしてください。
予防効果が大いにあります。


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