瞳の奥の真実【Miracle Fanta詩 Ⅱ 291】

見えない処置室の中には
横たわったホッキョクを
必死に介抱するドブナガとライスワイフ
それからホークジョウと
見慣れない姿の人物があった


「ホッキョク!一体、何があったの?!
イワモトは?!そしてモントローザさんは何処へ行ったの?!」
── 願いの少女、ミナミ
「僕はここに居るよ」
── ダイヤモンドの少年、アストン
「え…?あなた…イワモトなの?
姿かまるっきり違うじゃない」
── ミナミ


ミナミはアストンをかわして
ホッキョクの元へ向かった


「もうイワモトじゃないんだ…、本当の名前…、見つかったんだよ。
アストン…。僕の名前は…アストンだ」
── アストン
「状況は?攻撃を受けたの…?
傷の深さは…?」
── ミナミ
「あの魔女、ボクたちを裏切って、ネガーボンの化身に手を貸したんだ!
ホッキョクはホークジョウを庇ってブッ刺されたんだよ!
ちょうどそこに居るやつから剥がれ落ちたやつなんじゃないかって、ボクは思ってるけどね!」
── 発明家、ドブナガ


ドブナガは
アストンを指差して言った

ミナミは小耳に挟んだ言葉が
ひとりごとではないことを
自分の中で確認した


「ちょっと待って…?
わたしの聞き間違いじゃなかったら、いま名前が見つかったって言ってたわよね?
アストン…?アストンっていうのね?
姿が違うから別人かと思った」
── ミナミ


ミナミはアストンの瞳を覗き込むと


「うん…、間違いないわ。
紛れもなくイワモト…いや、アストンよ。
ステキな名前、見つかってよかったね!」
── ミナミ


そう言うと
アストンにハグをした

アストンは思いもよらぬ行動に
知らない内にダイヤモンドの涙を
流していた
名前を褒められたことが
こんなに嬉しいとは
思いもしなかった

周りのみんなは
まだ半信半疑なのかも知れないが
この子が分かってくれさえすれば
他はもうどうでも良かった


◀︎ 前頁◀︎

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?