シェルターのかがり火【天候術師のサーガ 24】
〜 イノリゴ島 アガヴェ家のシェルター 〜
ただいま〜…。
── 島、アガヴェ
アガヴェは恐る恐る玄関の扉を開けた
ちょっと、アガヴェ!
どこ行ってたの!
心配したんだからぁ〜!
── アガヴェのママ
うぅ…、ごめんなさい…。
── アガヴェ
アガヴェのママは
顔を涙でぐしゃぐしゃにしながら
アガヴェを抱きしめた
え?
この人たちは誰なの?
アガヴェ。
── アガヴェのママ
えと…、
学院の友だち
とそのおばあちゃん…。
── アガヴェ
なに勝手なことしてるの!
家族以外はここに
入れちゃダメって言ってるでしょ?
食料だって、家族分しか
ないんだから!
今すぐにでも
出てってもらって頂戴!
── アガヴェのママ
でも…。
── アガヴェ
でももへったくれもないの!
生死に関わる問題なんだから
しっかり考えて頂戴!
あなたはもう自分で考えられる
年齢でしょ?
── アガヴェのママ
わかった…。
── アガヴェ
アガヴェはママに言われるがまま
ナナミたちに事情を説明した
ということなんで…。
まぢでごめんね…。
ホントはこんなこと
したくないんだけど…。
── アガヴェ
いやいや、
私たちが勝手に入って来ちゃったから
仕方ないよ…。
── イノリゴ島の少女、ナナミ
アガヴェはナナミと
ナミナおばあちゃんに
シェルターの家の玄関から
出てもらった
でも…、
きっとどうにかできるはず…!
── アガヴェ
どうにかって…
何をするの?
── ナナミ
ふたりとも
ここでしばらく
う〜ん、
結構かかるかもだけど、
待っていられる?
── アガヴェ
お主、何か作戦があるんじゃな?
── ナミナおばあちゃん
うん。
必ずここに戻ってくるから…。
うちを信じてくれないかな?
── アガヴェ
もちろん。
アガヴェちゃんを信じるよ。
とにかく、ここにいれば良いんだね?
── ナナミ
ありがとう。
じゃあ、行ってくるね。
── アガヴェ
アガヴェはふたりを
シェルターのハンドル付きの
大きな扉の前に残すと
内側から操作し閉めた
ナナミと
ナミナおばあちゃんの周りは
電源の灯りだけがつく
静かな広い空間が拡がっていた
25へつづく