丸裸の森を抜けて

今一度決意を固めた
少年とアイウェオは
丸裸になった森を抜けて
くず鉄を探し求めていた
山の麓に脚を踏み入れると
辺りは緑生い茂る光景から
岩肌の剥き出しになった
荒地へと変容していった
ほぼ直感でここまで来たが
どうやらその感は
間違いではなさそうだった
所々に何やら錆びついた
ネジのようなものが
転がり落ちていた
おまけに硫黄のようなにおいも
辺りに立ち込めて来ていた
温泉が湧いているのだろうか
ふたりは辺りを用心しながら
錆ネジの転がる荒地を歩き続けた
アイウェオは
硫黄のにおいが苦手なのか
先ほどから頻りに
変な鳴き声をあげている
しかしどうだろう
となりを歩いていたはずの
アイウェオは
いつの間にか四つ足の
歩く岩石にすり替わっていた

◆ 戦利品 ─【くず鉄の手がかり】

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