帰宅【天候術師のサーガ 23】
〜 イノリゴ島 アガヴェ家のシェルター 〜
ナナミがシェルターの蓋を開けると
地下へと向かう梯子が延々と続いていた
等間隔に明かりがついており
しっかりと梯子が照らされていた
それと同時に
地下までの高さが露わになっていたため
高所恐怖症のナナミの足はすくんでいた
じゃあ、うちが先に降りるね。
── 島ギャル、アガヴェ
まずアガヴェが地下へ続く
シェルターの梯子を降りた
なんじゃ、ナナミ
降りないんか?
── ナミナおばあちゃん
ナミナおばあちゃんは
渋っているナナミを煽った
う…、うん。
おばあちゃん、先に行っていいよ。
── イノリゴ島の少女、ナナミ
ナナミ、
お主、高所恐怖症じゃな?
ほっほっほ。
── ナミナおばあちゃん
ナミナおばあちゃんは
ナナミの高所恐怖症を見抜いており
そそくさと梯子を降りた
ナミナおばあちゃんは
高齢の割に軽快な動きで梯子を降り
高いところもものともしなかった
あっという間に地下に降り立ち
アガヴェと一緒に手招きした
ナナミっち〜!
下見ちゃだめだよ〜!
梯子だけ見て〜!
── アガヴェ
アガヴェはナナミにアドヴァイスを送ったが
ナナミは降り口でまごついていた
うう…、
脚が…、震える…。
下は見ない…、下は見ない…。
── ナナミ
そうは言いながらも
ナナミは下を見てしまった
ひぃっ…!
こ、怖い〜…。
── ナナミ
ナナミは
梯子を少し降りたところで
固まってしまった
見かねたアガヴェは
降りた梯子を再び上り
ナナミをサポートした
ナナミっち、
うちが下にいるから大丈夫よ。
ゆっくりでいいから。
上見てて。
── アガヴェ
あ…、ありがとう…。
ひぃ〜!
── ナナミ
ナナミはアガヴェのサポートを受け
やっとの思いで梯子を降り終えた
ナナミは地面に足をつけたところで
その場にへたり込んでしまった
あ、あああ、脚が
ずっと震えてる…。
── ナナミ
うちは上の蓋閉めてくるから
ナナミっちは少し休んでて。
── アガヴェ
ナナミは
いつも抜けているアガヴェが
とても頼もしく見えた
よっし…。
じゃあ、行こうか…。
── アガヴェ
アガヴェは明らかに乗り気ではなかったが
シェルターの奥へと進んだ
シェルターの奥へ進むと
洞窟のような場所の壁に
先ほど開けた蓋と同じような
ハンドルのついた頑丈な扉が待ち受けていた
ナナミっち、
また頼むわ。
── アガヴェ
おっけ。
── ナナミ
ナナミは
グローヴをぎちっとはめ直し
再びハンドルを回した
ハンドルを回すたびに
内部で歯車が噛み合い
回る音がして
丸い扉は回転しながら
横に開いた
中にはさらに住居のような鍵付きの扉があり
アガヴェは持っていた
ぬいぐるみなどの
色々なものがじゃらじゃらついた
リールの中から鍵を見つけ出し
鍵穴に挿してガチャリと回した
ゆっくりと扉を開けると
中には広い玄関があり
普通の住居と
なんら変わらない構造だった
24へつづく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?