蛹に舞い戻る蝶【Miracle Fanta詩 Ⅱ 286】
ドブナガによる
ホッキョクの救命措置が続いていた
ホークジョウの赤い蝶は
ことの重要さを掻き消すように
ひらひらとゆったり舞っていた
そしてホークジョウは
もうひとつの魔法を
この密集した半径幾寸かにかけた
それはスノーマンズ兵に
見つからないようにするための
隠遁魔法だった
ホッキョクの血液で出来た
赤いの蝶と同じ原理で
空気中の僅かな水分で
自分たちの像を乱反射させて
視界には映らなくさせる幻術魔法である
ドブナガは
半泣きになりながら
心臓マッサージを繰り返し行った
傷口からは
真っ赤な蝶が
相変わらず羽ばたいて行った
ホッキョクの顔にも
いよいよ生気がなくなって来た頃
ホークジョウは
祈りを込めて
赤い蝶を再度傷口へと
戻してあげた
まるでその様子は
蛹を割って出て来るまでの
蝶がその逆の手順で
ホッキョクの血管へ
戻って行くようだった
◀︎ 前頁◀︎
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?