街外れの発明家
それにしても
このヤスメヤセンという街は
やたらに高い建物が多かった
少年はこんなに高い建物を
たくさんみることは
初めてだったので
なんとなく具合が悪くなった
空も陽が暮れていないというのに
やけに黄味がかっていた
こっちこっち
ミナミはが嬉しそうに
少年を手招きした
そこは地下へと続く
階段のようだった
下へ降りると
何やら市場のようなものが
展開していた
様々な露天には
見慣れぬものが
たくさん並んでいた
ただ
その場所だけは
鴉の仮面と耳当てを
つけている者は
誰ひとり見当たらなかった
ここはなんなの
という仕草をして
ミナミへ質問した
ここは闇市ね
地上で手に入りにくいものを
破格の値段で取り引きしているの
安いか高いかは
その店によりけりだけれどね
物々交換してくれるところもあるよ
ミナミはどんどん
奥の方へ進んでいった
すると急に大きい通りを外れて
細い路地に入った
大きい通りよりも薄暗く
なんとなく雰囲気は
気味の悪い感じがした
何に使うのか分からない妙な機械から
蒸気が噴き上がり
怪しさをより一層増していた
着いたわよ
重たい鉛の扉を
勢いよく開くと
なかから白装束を纏った
老いぼれが姿を現した
◆ 戦利品 ─【裏世界の実情】
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