ワタヌキと美少女

でも近くで見ると
どこかで見たことがあるような顔だな
ワタヌキが首を傾げた
マグマドグマは
少年を切り抜けて
咆哮した
何故貴様が生きている
生け贄になったはずだろう
わたしの短剣のために
どういうこと
少年も首を傾げた
マグマドグマを見る限り
短剣めいたものは
見当たらなかった
ワタヌキは美少女を
庇うように前に立った
手はしっかりと握られていた
今やザンパムの意識は
ガムと記憶のフレーバーに
書き換えられて
この美少女そのものとなっていた
握った手は温かく
ワタヌキは自らのなかに
何かが入ってくるような感じがした
まるで足りなかった何かが
満たされたような
脱力感に苛まれていた
ワタヌキの身体は
今や生命力に満ち溢れていた
雑草の髪の少年と
マグマドグマのハートの鼓動も
それに共鳴するかのように
高鳴り始めた

◆ 戦利品 ─【ブレイヴ・フレーム】

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