電波塔前広場にて

辺りはやけに静かだった
これが嵐の前の
静けさというやつだろうか
空も薄黄味がかってはいるが
雲ひとつない快晴だ
三つの陽も
しっかりと輝いている
雑草の髪の少年は
久しぶりにハートに拳を当て
マグマの火花を燃やした
それは以前よりも鮮やかに
まるで虹のような輝きを
解き放っていた

すごい
ミナミが口に手を当てながら驚愕した
あなたも魔法使いなの
これが魔法と呼べるモノならば
そうなのかも知れないね
ライスワイフも久しぶりに
髪をばちばちと逆立てながら
プラズマ発光した
以前とは異なり金髪になったので
より輝きを増したように見えた
すごい
あなたまで
あなたもきっと
何か持っているわよ

あたしにはなにも
ここに来ただけで充分すぎるくらいの
勇気を持っているよ
少年はライスワイフの言葉を
遮るように言った
ワタヌキは自宅から持参した
調理器具を持って
ガタガタ震えていた
アイウェオはいつも通りの表情だ
これこれ
若いものたちよ
まだここは入り口じゃ
そんなカッカすると
後まで持たんぞ
博士が制止し
それでは行くとするかの
レジスタンス一行は
勇ましく電波塔内へ
入って行った

◆ 戦利品 ─【こころの準備】

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