氷の中の少年
ヤスメヤセンへの復讐に燃えるモントローザと邪炭素纏いの岩肌の少年は
クジラ号船内の散策を継続していた
するとふたりは
ある部屋に行き着いた
ひんやり肌寒く
まるで食肉を保存する
冷凍庫のようだった
「ここは…?」
辺りには
氷の柱のようなものが
おびただしいほどに並んでいた
イワモトは
柱のひとつをまじまじと見つめた
「ワッ!人ダ!人ガ入ッテル!」
「どれどれ?」
モントローザも後から柱を覗き込んだ
「連中、なかなか悪趣味ね。
この辺の柱は全部そうなのかしら?」
岩肌の少年がある氷柱に近づくと
突然うずくまって悶え始めた
岩肌の少年の邪炭素の皮膚は
ぐにゃぐにゃと波打ち
時々トゲになったりもした
彼の目の前の氷柱のなかには
見知らぬ少年が眠っていた
そんな時
氷柱の影から
薄ら笑いを携えたマダムネヴァが現れた
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