地底の世界 【地底帝国の詩 110】
きみたちの住む世界が退化している世界ならば
我々の住む世界はまるで監視社会そのものさ。
高度な技術が人を不自由にするのは、どの世界でも同じだ。
どこにいても、
誰かに見られているような感じがしてならない。
もっとも、
中央都市部に住む連中の一族なんかは
どんなものでも見通す目を持っているそうじゃないか。
── 公社の研究員、アサツキ
あぁ、どうやらそのようだな。
── 暴走族副長、ギロチヨ
ギロチヨは静かに呟いた
監視カメラなんかなくたって
我々の行動なんかお見通しなのさ。
── アサツキ
その時だった
ヤマトは
テンムスからのテレパス通信を受信した
ゾニィが研究員たちに捕まったって。
多分、無事だと思うけど…。
── 段城矢真十
『ダンジョウ。
あなたたちは今、
わたしたちよりも上の階に居たわよね。
鏡のある部屋はこの階から入れないから
試してみて欲しいことがあるの。』
── テンムス
『えっ?
でも、鍵のかかった入り口があったんじゃ…?』
── 段城矢真十
『あれはニセモノだったわ…。
この階からの入り口はどこにもなかった。
あとは上か下かなのよ。
わたしたちはこのまま下層へ降りてみるわ。』
── テンムス
どうなってるんだ?
── 段城矢真十
探し物のブツに関しては
我々でさえ詳細が教えられていない。
他に関与している者たちがいるかもしれないから
気をつけた方がいい。
── アサツキ
ご忠告ありがとう、アサツキさん。
そしたら、ぼくらはこのまま上の階へ向かおうか。
── 段城矢真十
111へつづく
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