空に聳える鉄塔

古いパイプを伝い
ネズミの這い回る
下水を通って
路地裏を回って
柔らかい土の上に出る
それから
鉄塔を残された力でよじ登り
割れたステンドグラスから
なかへ入る
べちゃりと潰れた半固形物は
じわりじわりと
その床へ染み込んでいった
しばらくすると
かつて
電波塔と呼ばれた
その鉄塔は
水を得た魚のように
意思を持って
動き始めた

◆ 戦利品 ─【破滅の足音】

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