決意を固めたライスワイフ

待たせたな
誇らしげに扉の奥から
出てきたライスワイフは
以前と少し
顔つきが違った
何かを悟ったような
その上腹を括ったような
そんな表情をしていた
船員たちとしては
絶対一生着いて行くと
言わしめんばかりの
覇気を感じていた
ザンパムは
こころの底の
もやもやしたものが
どこか遠くへ
飛んで行って
それで塞いでいた
涙の河が
溢れんばかり
流れ込んだ
船員たちを押しのけて
ライスワイフは
ザンパムを一目散に
抱きしめた
続いて船員たちも
みんなみんな抱きしめて
刹那
この一帯は
いかなる場所以上に
平和だった
ライスワイフは
出発の合図をとったが
船が動かないのを
忘れていた

◆ 戦利品 ─【平和】

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