見出し画像

船上のショータイム - 第一幕 -

 戦闘文面コンバット・フェイズ継続中 
(
現在膠着こうちゃく状態)


グライダーから降りて来た人物は
防護仮面ヘルメット・マスクを脱いだ

「ネヴァ、生きていたのか
── 幻術使い、ホークジョウ


その人物はマダムネヴァだった

「そんなイヤな顔することないじゃない?
せっかく久しぶりに会えたんだから、嬉しがってもいいじゃない?
── 冬籠りのクジラ号艦長、マダムネヴァ
「あんたネヴァなのか?」
── 意思号の船長、ライスワイフ
「ライスワイフ、あなたも居るのねぇ。懐かしいわぁ。あの頃を思い出すと吐き気がしてくるわ
── マダムネヴァ


ミナミとホッキョクは
まるで状況が読めなかった
どうやらこの三人が
むかしの知り合いであることしか
推測することは出来なかった

「あのヒト、知り合いなの?」
── ヤスメヤセンの少女、ミナミ


ミナミは恐る恐る
隣にいたライスワイフに聞いてみた

「あぁ。やつもかつて賢者ドミニスリヤの弟子だったんだ。アタイとホークジョウと同じくね
── ライスワイフ
「そうなんですか?!
そういえばドミニスリヤさん、どこ行っちゃったんだろう。元気だといいのだけど
── ミナミ


ミナミは
ライスワイフとホークジョウの
師匠であるドミニスリヤと
一緒に旅をしたことがあった
賢者のその後の行方は
誰も知らないのである

"ナミ、イス"
── ナゾの思念波


ミナミとライスワイフは
一瞬どこかから
思念波を傍受した
しかしそれがどこからなのか
彼女たちは知るよしもなかった

「ヨンゴウちゃ〜ん
こんなところにいたんでちゅねぇ〜?
任務をサボった上に、
敵に寝返っているなんて、なんて悪いコ
せっかくアタシが生み出したのに、親不孝なのね。悲しいわ」
── マダムネヴァ


岩肌の少年イワモトの事実に
雑草魂の魔法使いたちウィーザーズの面々は
それぞれに混乱した
岩肌の少年イワモト自身も混乱していた

「ライスワイフ、やっぱりこいつ敵のスパイだったんじゃないの?
わたしはなんかイヤな予感がしたのよ」
── ミナミ
「落ちつけミナミ!今は言い争いをしている場合じゃないんだよ!」
── ライスワイフ
「お前なぁ、連れてくるヤツちゃんと見極めろよ!!」
── ホークジョウの弟子、ホッキョク
「だぁあああ!!
どいつもこいつもうるせぇなあ!!
言い合いしてる場合じゃないんだ!!!」
── ライスワイフ


船内は混乱を極めた
そのゴタゴタのなか
マダムネヴァは虚空を指差し言った

「あそこにあるのは何かしら?
中身はよおく見えないけれど
何か大事なものなのかしら
── マダムネヴァ
「ちっ、その瞳にはなんでもお見通しかよ。だがしかし、渡すわけにはいかねぇなぁ」
── ホークジョウ


マダムはニタリと不敵な笑みを浮かべると
瞬時にミナミの首に氷の刃を突き立てた

「この小娘の頭が宙を舞っても良いならば
渡してくれなくても良いんだけれど
── マダムネヴァ
「くっ、汚いぞっ!!」
── ホークジョウ
「ホークジョウ、わたしに構わないで!」
── ミナミ


船内にビリビリと緊張が疾っていた
ホークジョウは目をつぶって
幻術まほうを解くか迷っていた

「ホークジョウ!
早く幻術を解け!ミナミを殺す気か!」
── ライスワイフ


ライスワイフの一言で
ホークジョウの迷いと幻術まほうは解けた
こころ残りだが
短剣の入った木の赤子を
マダムネヴァへ引き渡した

「ありがとう、ホークジョウ
この恩はきっと忘れないわぁ
── マダムネヴァ


マダムネヴァが
手にはめた手袋グローブ
未確認飛翔体アンノウンにかざすと
赤い稲妻をまとって突如暴れ始めた


【意思の短剣】は
【マダムネヴァ】の手に渡ってしまった


▶︎次頁 ▶︎

◀︎ 前頁◀︎

いいなと思ったら応援しよう!