みんな同じ顔
門をぶち破って
ヤスメヤセンの市街地に
侵入した四人は
また門番や警備が
来ることを警戒して二手に分かれた
アイウェオとザンパム
少年とライスワイフという
組み合わせだ
少年は別れ際に
この組み合わせは
失敗だったかも知れないと
もう一度やり直そうとしたが
ザンパムが肉マントを
持っていることを思い出し
そのまま前に進んだ
ただ
少年は道ゆく人々からの
偏見の目が気になった
確かに
頭に雑草が生えているのは
ぼくくらいかも知れない
けれども
そんな人たちとは
知り合わない限り
深く話をすることもないだろうから
知らん顔で通り過ぎることにした
それとはもうひとつ
少年には気がかりになったことがある
それは街ゆく人々がみな
同じ顔をしているということだ
服装は違うのに
顔だけみな同じなのだ
アイウェオみたいな目をして
口は見当たらない
代わりにカラスのような
くちばしがついていて
耳も何かで覆われている
少年にはそれが不思議でならなかった
◆ 戦利品 ─【不思議な街の情景】
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