異界の案内
ホームラは
暫くお茶を飲んでいたが
やがて生命機能を停止した
手に持ったティーカップは
床に落ちて粉々になった
表情は笑顔を保ったままだった
それから身体もバラバラになって
鉄塊と化した
その瓦礫のなかからは
一羽のブリキ造りの鳩が
遠くの空へ飛び立って行った
リヴィングでは
ガニメデ大佐が
ミナミを人質にとっていた
それは目にも止まらぬ速さだった
まず、グライダーが
ホームラの背後に居たことに
雑草魂の魔法使いたちは
誰ひとり気づいていなかった
「おい娘。
このなかで短剣を所持していたのは誰か?」
「どこの誰か知らんが、うちのかわい子ちゃんを離しな!
さもなければこれをアンタの顔にお見舞いするよ!」
ライスワイフは
威力を凝縮したプラズマ弾を
指先に作り出して警戒していた
「それより先にこの娘が氷漬けになるぞ。
それから、お前は石薔薇の魔女だな?
その心臓をこちらへ寄越せ。妙な実験にでも利用するのかもしれんが、それはこちらにとっても非常に重要なものだ」
「こんな精巧なもの、よくこしらえたじゃないか。褒めてやろう、人間ども。
どれ、うまく機能するか試してやろう」
モントローザはそう言うと
ホームラの心臓を
パズルのように分解して
また組み直した
すると鍵のようなものが完成した
彼女はそれを虚空に向けて差し込むと
何もないところで
扉が開いた
◀︎ 前頁◀︎