雑草魂

雑草の髪の少年は
ワタヌキの生命が
風に消えたことを感じ取った
これは比喩などではなく
自分のなかからも
何か失ってしまったような
そんな気がしていた
ハートにあるはずのものが
そこにはないのだ
まるで
留め具のようなものが
なくなってしまったようだ
少年の魂は
抑え難い衝動を感じていた
マグマドグマは
半狂乱を通り越して
野獣に近かった
理性というものは
どこかへ置き忘れてしまったような
電波中継のことも忘れて
自らの欲望やエゴを
その身体を以って体現していた
少年はなぜ彼が
そのような状態に陥っているのか
理解することは出来なかったが
ところ構わず破壊し尽くそうとする
愚行だけは止めねばならぬと感じていた
ここに居る
生きとし生きる
すべてのものを守るのは
己の役割であることに
気づき始めていた

◆ 戦利品 ─【宿命】

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