金箔船舶
ライスワイフは
勢いよく面舵いっぱい切った
泥沼から離れていくに連れて
船底に付着した泥が
意思号が足跡を残すように
乾いて地上に落ちていった
そして
船体は時間が巻き戻ったかのように
眩しく光る金色の輝きを
取り戻していった
それは船内も例外ではなかった
先程まで陰りのあった船内も
船体が元の輝きを取り戻すとともに
同じように徐々に輝きが戻った
ちょうど
砂浜に波が押し寄せるみたいに
やがて古びた部分は
金色に煌めいた部分に
飲み込まれていった
防衛本能が働いたのか
シスルーはその現象の起きる少し前に
こう言い放っていた
船内は輝きを取り戻すとともに
空飛ぶ観賞魚のような生き物も泳ぎ始めた
ホークジョウの幻術で召喚したものとは
また異なるもののようだった
乗組員に干渉することはなく
ただ優雅に空中を泳いでいただけだった
所々に座席もあったので
立つことに疲れた者は
腰を下ろしていた
まだ陽は三つのうちのひとつが
地上を照らしていた
これが沈めば
夜になる
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