街を駆ける少女

一方その頃ザンパムは
ワタヌキの
ぬいぐるみ工房を飛び出して
ヤスメヤセンの街を駆けていた
彼女の小さなハートのなかでは
自分の生まれた理由を求める声と
自分が誰かを知りたがる声
自分の記憶を欲する声と
自分がそれでも生を求める声が
奇妙な形で同居しながら
今にも脆く砕けそうな
その器を食い破ろうとしていた
走れども走れども
その感情は増すばかりだった
気持ちの赴くままに
街を疾走し続けると
ぼん
と突然人に出会した
見事に跳ね返されて
ひっくり返ったザンパムが見たのは
地下から上がって来た
博士とレジスタンス一行だった

◆ 戦利品 ─【合流】

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