引き寄せるもの
雑草の髪の少年は
散歩を続けたが
次第に身体が
重くなってゆくのを感じた
なんだか足取りが重いぞ
鉛でもつけているみたいだ
街ゆく人々は
彼を見るや否や
逃げ惑ってしまっている
一先ず博士のラボに
戻ろうと思ったが
歩くことさえ
ままならなくなってしまった
胸の痛みも
次第に強くなってきた
そして感じたのは
とうもろこし畑での
冷徹な感覚だ
また自分ではない
他の誰かが
自分の身体を
支配しようとする感覚
どう足掻いても
岸には辿り着けないような
そんな感覚なのだ
黒い鎧もあれっきり
消滅してしまったので
彼を守るものは
彼自身のこころと
魂しかなかった
いやだ
またみんなを
悲しませるようなことは
少年はもがき苦しんだが
徐々に意識を
蝕まれてゆくのを感じた
その刹那
彼はマグマドグマの
意思を感じた
やはりお前は
生きていたんだな
欠片についていた
ドロリとしたものは
人形を形成し
不完全ながらもマグマドグマの
形を形成して行った
しかしながら
行動には不明瞭な点が多く
頻りに右往左往していた
◆ 戦利品 ─【マグマドグマの器】
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