口止め料の交渉【天候術師のサーガ 31】
〜 イノリゴ島 アガヴェ家のシェルター アガヴェの部屋 〜
ちょちょちょちょ。
セメちゃん。
この人たちのこと、
ママとパパに
絶対言っちゃダメだからね。
これ、お姉ちゃんと約束できる?
約束できるならあげる。
── 島ギャル、アガヴェ
アガヴェは
妹のセメレに向けて
手のひらの中のビスケットを
見せびらかした
う〜ん、
ひとちゅだけ?
── アガヴェの妹、セメレ
セメレは不服そうな顔をした
お主の妹、
なかなかの手だれじゃのう…。
末恐ろしい娘じゃ…。
── ナミナおばあちゃん
アガヴェちゃん、
妹がいたんだね…。
── イノリゴ島の少女、ナナミ
うん、
うち六兄妹なの。
うちが長女。
セメちゃん、わかったよ。
じゃあ三つでどう?
── アガヴェ
う〜ん、
わかった。
いいよ。
ひみちゅにしたげる。
── セメレ
六兄妹⁉︎
そんなにいるの⁉︎
── ナナミ
まぁね。
だから意外と面倒見は
良い方だと思うよ。
── アガヴェ
ナナミは最近
誰かの面倒を見る
アガヴェを見たような気がしたが
記憶の中に雨が降っており
うまく思い出せなかった
そんな中
ナナミはずぶ濡れのパーカーを
手に持ったままだったことに
気がついた
アガヴェちゃん
これどうしよう。
── ナナミ
う〜ん。
水は死ぬほどあるからねぇ〜。
貸して。
洗濯機に入れてくる。
── アガヴェ
アガヴェは
オロロンが着ていた
びしょ濡れのパーカーを
洗面所にある洗濯機に放り投げた
廊下には
パーカーから滴った水滴が
点々とこぼれ落ちていた
32につづく