火吹き岩
アイウェオに代わって
少年の隣を歩いていた
四つ足の生えた岩石は
奇妙な鳴き声をあげて
少年に向かって火を吐いた
もう火はこりごりだと
少年は思ったが
すかさずすぐ側の岩に
身を隠してやり過ごした
すると
隠れた岩にも
下から四つ足が生えて動き出し
瞬く間に火吹き岩へと
変貌を遂げた
なんだなんだ
なんなんだここはと
少年は焦って走り出した
アイウェオはどこに行ったのだ
こんなときにやつがいれば
なんなく切り抜けられるのに
そう思った少年の
背後からは火吹き岩の放つ
火の海が渦巻いていた
一方その頃アイウェオは
石切場の山賊に
捕まっていた
◆ 戦利品 ─【アイウェオの有り難み】