電気溜まりの池から
少年は
先ほど水に浮かんでいた
小さなナイフを拾って
ポッケのなかに
素早く仕舞い込んだ
アイウェオの真っ赤な
大きい眼は
この暗がりのなかで
より一層際だって
不気味さを増していた
ブリッジのなかでは
至るところで
ばちばちという音が
弾けていた
ダイナモに残った電気が
水を伝って流れているようだ
ということは
全員感電死しているのだろうか
少年は面倒の手間が
省けると思ったが
その瞬間ぶら下がった
彼の脚に
誰かの手が掴みかかって来た
ばちばち音を立てながら
少年の脚は
少し痙攣した
幸い着ている服が
麻のようなもので
出来ていたので
電気がうまく分散したようだ
水に浮かんだ黒い影は
ぬらりと面を上げ
自動小銃のついたアイパッチが
外の光を帯びてぎらついた
◆ 戦利品 ─【電気エネルギー】
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