ブリキ造りの岸

沈没した
稲妻船団の飛空船は
先ほどまでの
威圧感はまったくもって
感じられず
ただのくず鉄と化していた
稲妻を照射するためのコイルも
今は変なオブジェにしか
見えなかった
操縦していた者たちの
生死を確かめるために
ふたりは物静かに
なかへ入るための
入り口を探した
どこからどう入るのか
見当もつかないくらいに
ボルトを使って
締め出されていた
飛空船の甲板と思しき
だだっ広い場所へ出たとき
ふたりは先程まで歩いていた場所が
翼が何かだったことを把握した
暫く歩いた末に見つけた
少し窪んだ場所に
四角く
切れ目のついた部分を見つけた

◆ 戦利品 ─【ブリッジのハッチ】

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