真昼の輝き【天候術師のサーガ 9】
〜 イノリゴ島 海岸沿いの道 〜
ナナミとオロロン、
アガヴェの三人は
果てしなく続く海岸沿いの道を
呑気に歩いていた
「雨の小屋」に向かったってことは
この海岸のどこかに居たってことだよね?
「雨の小屋」に続く道は
この海岸側しかないし、
あとは獣道だったはず。
── イノリゴ島の少女、ナナミ
そだね。
切り開かれてるのは
海岸からだけだね。
── 島ギャル、アガヴェ
アガヴェは魔導デバイスで
地図を開いて確認した
じゃあ、ちょっと降りて
確認してみよう。
── ナナミ
三人は
海岸沿いの防波堤から
下の砂浜に降りて
波打ち際を歩いた
オロロンくん、
なんか思い出した?
── ナナミ
う〜ん。
まだ、なにも。
── 泣き虫オロロン
オロロンは
辺りの風景を見回したが
記憶の断片を
呼び覚ましそうな景色は
見当たらなかった
あれ、なんだろ。
── アガヴェ
アガヴェは
物珍しそうに
上空を眺めた
空は快晴で
雲ひとつなかった
しかし、
昼の月というには
あまりにも明るすぎる物体が
上空に飛行していた
なんだろね。
あんなの初めて見たかも。
── ナナミ
ナナミの隣で
オロロンもまた
空を見上げると
恐ろしい記憶の断片が
蘇ってきた
は…、魔導レーザー兵器だ…。
逃げて!
ここに居たら
みんな死んじゃう!
── オロロン
え、なんのこと?
魔導ザーサイケーキ?
── アガヴェ
私もわからない。
けど、
オロロンくんが
嘘を言ってるようには
聞こえないかも。
なんとなくだけど。
── ナナミ
逃げろったって
どこに逃げればいいのさ。
── アガヴェ
どこか
隠れる場所があれば…。
洞窟とか、
穴の中。
できれば爆風を防げるところ…。
間に合わなかったら
海に飛び込んで!
── オロロン
爆風って…!
まぢで言ってんの?
爆弾かなんかが
爆発するん?
── アガヴェ
とにかく、
今はゆっくり話してる時間はない。
一刻も早く逃げるんだ。
── オロロン
ナナミとアガヴェは
泣き虫なオロロンに見慣れていたので
この時ばかりは頼もしく見えた
三人は急いで海岸を走り
なんとか
川からの汽水域にかかる
橋を見つけた
あそこの下に隠れよう!
── ナナミ
ナナミがそう叫んだのも束の間
三人がきた方角に凄まじい爆炎が見えた
10へつづく
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