ネヴァーランドの入り口【天候術師のサーガ 43】
よし、みんな。
目をつむって。
── アガヴェの妹、オウトネ
オウトネは誇らしげに
みんなの目をつむらせた
ほら、アガ姉も早く。
── オウトネ
アガヴェは我に帰ったように
オウトネに言われ
すぐさま目をつむった
オウトネは両手を水平に広げて
まるでバレエダンサーのような
体勢をとった
その瞬間
アガヴェは
周りの空気がキリッと
引き締まった感覚を覚えた
ふぅ〜。
── オウトネ
オウトネが静かに息を吐くと
三女イーノの身体が
ふわりと宙に浮いた
わぁ!
なにこれ!
すご〜い!
── アガヴェの妹、イーノ
え⁉︎
なになに⁉︎
なにがすごいの⁉︎
── アガヴェの弟、ポリドラス
ふぅ〜。
── オウトネ
オウトネが
またしても静かに息を吐くと
今度は長男ポリドラスの身体が
宙に浮いた
わぁ〜!
ほんとだ〜!
すごいや!
魔法みたい!
── ポリドラス
アガヴェの弟妹たちは
次々に宙を舞い
部屋に重力がないかのように
みんなふわふわ浮いていた
急いで階段を登ってきた
ナナミとナミナおばあちゃんは
その異様な光景に
唖然としていた
え、なにこれ⁉︎
誰の能力⁉︎
── イノリゴ島の少女、ナナミ
しっ、今ここは
ネヴァーランドなの。
── 島ギャル、アガヴェ
ナナミがネタばらしをしてしまう前に
アガヴェが即座にナナミの口を押さえた