捨て身の防御【Miracle Fanta詩 Ⅱ 282】
ホークジョウの目の前に
白いものが立ち塞がった
その白い風景には
やがてじわりと血が滲んで
綺麗な薔薇の花のように拡がった
ニガマトの伸びた鉤爪は
するりと戻っていった
ライスワイフも叫んで駆け寄った
ホークジョウは真っ赤に染まった
ホッキョクを抱えながら狼狽えた
また大切な人を失ってしまう恐怖が
彼のこころをズタズタに切り裂いた
ホッキョクは
ホークジョウの腕のなかで
どんどん冷たくなってゆくのを感じた
ドブナガは妙に冷静に
自らの白衣を引きちぎって
ホッキョクの傷口を
ぐるぐる巻きにして止血を始めた
ドブナガはこの時初めて
仲間に怒りを露わにした
ホークジョウは
そう言われたものの
やはりどうすればいいか分からず
祈ることしか出来なかった
◀︎ 前頁◀︎
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?