蓄電石のかけら

雑草の髪の少年の手は
賢者の首から引き剥がされると
そのまま少年は
地面へとへたばった
ぼくは今何をしたんだ
むせる賢者を見て
自分のしたことを察した
またぼくは
誰かを傷つけてしまった
落ち込みそうになる少年の
左手甲には
いつしかの蓄電石のかけらが
ほんの少しだけ埋め込まれていた
一か八かでやってみて
よかったよ
ありがとう
少年はお礼を言った
博士あのまま死んじゃったかも
しれないし
ワシゃそんなヤワじゃないわい
げほげほ言いながら
賢者ドミニスリヤは
冗談を言った
まだマグマドグマのマグマが
体内に残っているようじゃの
しかし今なら
自分の手で焼き切ることが
出来るかもしれんぞ
ぼくの手で
ここまでの道のりを思い出しながら
少年は目を閉じた
ハートに手を当てがい
身体中に流れる
血潮を意識した
心拍数が上がってゆくと
身体のなかで異物が
駆け回るのを感じた
遺物を感じ取ると
少年はハートから
火花を目一杯取り出した

◆ 戦利品 ─【異質な物質】

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