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【インタビュー vol.1- CEO 井口泰】 国境を超えて、誰にとってもフェアネスな社会を作る

株式会社TRiCERAでは「想像力に国境なんてない」というVisionのもと、あらゆる可能性を秘めている現代アーティストが、自国だけではなく世界中で活躍できるように、様々なアートサービスを提供している会社です。
第一回目のインタビュー企画として、自身の経歴から、事業・組織作りにおける考え方、また今後のTRiCERAの展望について代表の井口に聞いてみました。


<TRiCERA代表取締役社長 井口泰  Tai IGUCHI>
1986年生まれ。大阪府出身。大学卒業後、老舗音響機器製造業にてキャリアをスタートする。ドイツ最大手医療機器メーカーに転職後プロジェクトリードとしてシステム導入に尽力する。2015年世界最大手スポーツカンパニーに入社、マネージャーとしてグローバルプロジェクトに参画、日本国内においても複数の新規プロジェクトを立ち上げ実行する。2018年11月1日、株式会社TRiCERAを設立。
https://tricera.co.jp/
https://www.tricera.net/ja

グローバルであること。「創造に国境なんてない」の意味とは

ーーTRiCERAは2023年で5周年を迎えました。TRiCERAはグローバルを意識してアートマーケットの価値を最大化していますが、その源泉はどこにあるのでしょうか。

私は元々、NIKEなど外資系の会社を経験して創業に至った経緯があり、常に海外を意識する環境下で仕事をしていました。海外のプログラムに参加し多くの知見を経てきて、英語圏だけではなくてエジプト人やブラジル人などさまざまな人に出会ってきたからか「ビジネスのライバルとは世界中の人である」と誰よりも強く感じているのが一つの理由でもありますね。世界規模のビジネスをやろうとすると、日本に必ずしもいる必要はない。だからこそ、日本でグローバルな組織を作ることが、今後は世界と戦っていく鍵になると思います。
ーーなるほど。井口さんにとって、グローバル企業の定義とはなんでしょうか。
まず一つは、海外のマーケットをどんどん狙う方向性が明確にある組織だと思います。その結果、世界中の人々が働ける土壌を考えられることが大事です。だから、基本的に幹部人材もマネージャーメンバーも、どのクラスでも、パフォーマンスを出す人材として海外を受け入れていくという意味で、外国人のメンバーも積極的に採用しています。

ーーありがとうございます。代表として、事業作りに対するこだわりを持ったきっかけを教えていただけますでしょうか。

まず、起業当初はビジョン先行で、”TRiCERAが提供するプラットフォームやアーティストのための活動は、果たして誰のためのサービスなのか?”ということを意識していました。誰の問題に対してのソリューションで、それは果たしてそのマーケットにフィットしているのか、バリューは出せるのか。
私は、一つのその事業において価値があるものは長く続くものだと思っていて、サービスがマーケットに受け入れられてるかどうかの指標は、売上高という数字以上に、「そのサービスがなくなったことで、明日、誰かが泣くか?誰が困るか?」という基準なんです。

TRiCERAの社名の由来は龍の「トリケラトプス」=TRiCERATOPSから来ているのですが、その龍の中で一番最後まで生き残っていたのがこのトリケラトプスです。あと、実は近江商人の「三方よし」という考え方も大事にしていて、売り手よし、買い手よし、作りをしてもその三つが一緒に成長していくような、そういうような意識を持ったロゴがTRiCERAそのものです。

2023年11月 福岡にて開催されたB Dash Camp にて

まさしく、この三方良しをどう体現していくのかは、基本的にはフェアネスであるかどうかという基準で図っています。買い手であるコレクターにとっても、作り手であるアーティストにとっても、ユーザーにとっても平等に価値があるものでなければいけないのです。

2023年9月に開催した社内ワークショップの様子

ーーなるほど。”フェアネス”ではない場合だと、具体的にどう本質からずれるのでしょうか。

会社は利潤を追求するために利益の最大化を目指すために存在していますが、誰かがいい思いをするために他の誰かが騙されてお金を巻き上げられるというビジネスは誰かにとっては悪です。それは、いわゆる「Giver」と「Taker」でいう、後者だと思います。
「Taker」、すなわち人からもらうことが当たり前、という考えで動く人は、フェアネスであることを簡単に壊してしまいます。
自分にとってだけ利益が一番多い形。それは誰かが困ります。だからこそ、自分ができる範囲で形でフェアにやっていくっていうところが必要だと思っていますね。その結果、弊社には”Giver”であれ、というバリューを社員には提示しています。

なぜ自分がここで働くのか?を追求した結果での会社選びが大事

ーーありがとうございます。井口さんにとって、本質的な働くという価値やミッション、ビジョン、バリューを大事にする理由とはなんでしょうか。

D&I(ダイバーシティ&インクルージョン、多様性)が大事という令和の時代に突入していく中で、個としても、企業としても、「自分たちにとっての働くことの定義や価値観」を大事にしなければならないのでは、という問いですね。
それがあるからこそ、TRiCERAで働くということの意義が明確になると思います。お金を稼ぐためだけに働くなら、別に弊社である必要性はないですよね。
会社が成長していくことにより、個人も成長していくことが大切。それを社員や、今後ご入社される方々にも伝えていかなければと思っています。

会社が目指すのは”勝ちにこだわり続け、バリューを出すことを軸におく組織”

ーー井口さんにとっての理想の組織とはなんでしょうか。

The Winnning team」という概念、すなわち勝ち続けるチームを理想として、メンバーには結果にこだわり抜いてほしいです。予算を達成し続けるとか、まずは結果から目を背けないでほしいですね。その雰囲気を作っていくのは会社のマネジメントであると思いますし、大きなポイントです。仕事をする上で根本において大事なのは、バリューを発揮することです。バリューを発揮しているから報酬がもらえるというシンプルな仕組みでビジネスは成り立っています。
これを私は「Pay for Performance」と定義していて、成果や業績に応じて地位や報酬が変わっていくという考え方で経営をしています。

この考えが浸透することで、よりプロフェッショナル人材を目指すことも人々は意識していくと思いますし、そのための人材の受け皿としても報酬体系や評価を作っていかなければと思っています。

ーー実際にpay for performanceを実現できたとして、TRiCERAの今後の未来はどうなっていくのでしょうか。

僕の考えとしてはパフォーマンスに応じて、さまざまな機会を社員は得られるべきだと思いますし、周りと比べてもよりpayを得られるような形をちゃんと作っていきます。それで成果を出し続ける人が報われる世界にしていきたいです。

ーー今後の展望をお伺いしたいです。TRiCERAは資金調達や事業拡大を経て、IPOをどう捉えているのでしょうか。
IPOはただの通過点でしかないと思っています。IPOをすることで社会的な真のパブリックカンパニーになれますが、それを証明するための一つの手段でしかないんですよ。最低でも数千億の会社を作っていかなければと。

ーー影響力、という意味でのパブリックカンパニーということでしょうか。

はい、世の中を変えるということは、影響力を使って社会を変えていくということなんです。影響力というのはさまざまな観点からつくられるものです。例えば、企業としてその業界をリードするプレーヤーであることや、ある一定以上の売上規模や従業員規模。
そういうものがやっぱり必要なんだと思います。これがやっぱり僕らのミッションですね。

ーー具体的にどう会社を大きくしていきたいですか?

まずは、アートマーケットのエコシステムを固めて、アートの流通そのものを増やしていきたいです。プライマリと呼ばれる一次流通では”作家を育てていく”ということを目標に、オンラインでの販売チャネルを増やしていくことに挑戦し、その後に2次流通として、マーケットの流動性を上げるということをしていきたいです。プラットフォームを提供していることはあくまで手段で、アートのマーケット規模を大きくしていきたいですね。

アートマーケットのプライシング(価格付け)やアーティストのデータの運用ルールを策定したり、コレクターやアートファン、ユーザーに対しての情報提供ができるようになることも大事です。

教育に力を入れたいです。ユーザーに対しての啓蒙活動だとかすごいリテラシーを上げることもそうなんだけど、アートはアーティストあってのこと。だからそこに対して、どういう教育が必要かを常に考えています。

例えば今、特に日本やアジアの芸大・美大のカリキュラムの中で、アートをどうやって売っていくかを学べる場所や機会はなかなかないのです。
ギャラリーとの繋がりくらいはあったりはするんだけど、アーティストの受け皿となるギャラリーや展覧会もまだまだ少ない、そういった中で、彼らは卒業して、いざ活躍するとなったときにいくらで売ったらいいか、それがどう受け入れられるのかわからない。そういう人を救いたいです。
会社としてやりたいことはたくさんありますが、あくなき成長を求める人と一緒に、その思いを実現させていきたいです。

ー井口さんありがとうございました!

◇ ◇ ◇

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