#003_血管手術の決断(加筆済)

私の左足が抱えている症状について
2023年9月頃から
●ロードバイクでの高負荷域で足が窒息した様に急激に締め付けられる様な苦しさと共に力が入らなくなる。数分間低負荷走行するとジワっと復活する。

●ランニングは走り始め100m〜1kmほどで「足が棒になる」窒息した様に締め付けられる痛さが出て、数分立ち止まってストレッチすると回復する。その後、疲労の蓄積が著しく長距離を走り切れない。

2024年5月(病院でオーバーユースの疑いで全ての運動をやめる様言われる頃)からは症状が出る状況はバイクやランニングのような強い運動に限らなくなってきた。
●横断歩道を早足で渡るとき
●近所の坂道をいつものペースで登るとき
●ミニベロでゆっくり街中を走っているとき
●スイムのキック練習
●階段の登り
こんな軽い運動でも症状が出る様になり、日常生活では時間にゆとりをもたせて行動すること余儀なくされている。

#002_外腸骨動脈が怪しいと辿り着くまで

未知との遭遇

出会った医師が首を傾げ「んー」ってなっていたけれど、当の本人は諦めるわけにはいかず、インターネット上の情報や専門書で調べ続け、SNSに断片をぽろりぽろり投稿していた。するとある自転車乗りの方から「外腸骨動脈内の線維化症っていう症状ではないでしょうか」とコメントを頂く。早速検索してヒットしたページを順番に開いては共感し「そうそうこんな感じ」となりながらも、皆さんプロロードレーサーだったり、私など足元にも及ばないほどブルベやヒルクライムでは名前を聞くことのある方ばかりで、どうしても私の運動量とは釣り合わない。それならばとデータをとってみることにした。

参考にさせていただいたのは元那須ブラーゼン所属の小野寺選手がまとめてくださったページです。

ここに紹介されている方法を真似て自宅で検証をしてみました。
【検証手順】
1.室内バイクで運動し、症状を引き出す
2.症状がしっかり引き出す(私の場合は左足が苦しくなり力が入らなくなる)
3.バイクから降りてすぐに症状の出ている足→無症状の足の順で血圧を計る


症状が出るのは辛くて嫌だけれどやらなきゃ始まらない!

ぎゅーっと左足が固まってから少し追い込んで左足の出力が完全に低下したところで運動をやめて両足首で血圧を計る。その結果が……

左足に血液が行っていないようです

症状の出た左足は安静時の血圧よりも下がっていて驚く。その左足よりも後に計った右足の血圧はいかにも運動後って感じの血圧。ここまで差が開いていると恐ろしく感じる。と同時に、ようやく手がかりを掴んだという喜びも湧き上がる。

2日前に初めて診察を受けたスポーツ整形外科へこの結果を持って向かった。
ここで、気をつけなければならないのは、SNSなどで得た情報から自分の症状について考察したという事実のままを伝えるのはあまり良い顔をされない場合もあるということ。それは仕方のないことだと思った。聞いたことない病名でまだ認知度の低い症例だと知ったから。
ただ、私は前に進みたいという意思を伝えクリニックを後にした。家に帰るとクリニックから連絡があり、大きな病院の整形外科脊椎専門医師と血管外科宛に紹介状を書いてくださることになった。本当にありがたかった、まだ伝えられていないが、後で感謝の文と経過のレポートを送りたいと思う。

探究心の塊からの縁

2通の紹介状を持って行った病院では面白い体験をした。
"整形外科 脊椎専門"と"血管外科"に診てもらった。勿論どちらの医師にも先日自前で測定した結果と症状の経過のレポートも見てもらった。
それぞれにレントゲンやエコーで検査して出てきた結果が真っ二つで面白かった。

血管外科を離れたのは早かった。初診の当日にエコー検査で"あなたの血管は健康そのもの!私が太鼓判を押します!"と言い切ってくださったのだ。そう言われると嬉しくてガッツポーズをしてしまったのだが、次の瞬間疑っていた症例とは違うのか……と、また原因に辿り着かない堂々巡りになるのかと不安になったままこの病院の血管外科を離れた。

次は整形外科。症状が神経由来のものである可能性も疑っての判断だったと思う。視野の広い医師だった。この医師に巡り会えて本当に良かったと思う。
まずレントゲンでおおよそ整形外科的見立てでは問題になりそうな箇所が見つからないという結果から、私が持参したレポートにある症例についてその場で調べてくれて、先に受けた血管外科でのエコー検査の結果をよみ直してくれたのだ。そこで数値のわずかな左右差について疑問をもって、「外腸骨動脈内の繊維化症というものである可能性がありそうですので、先ずは神経系が原因でないことを証明して次のステップへ進みましょう」となった。大きな前進。この時は本当にありがたかった。ずっとこの医師に担当してもらいたいと思えたくらい探究心が強く、柔軟な見方で解決への糸口を探っていく姿勢がかっこよかった。
「この結果は証拠堅めに使えますので、もう一度ちゃんとした手順で血圧変化の記録をとってください」と手引きしてくださった。その結果は↓

もっとキレイにまとめられてと思う……

それと同時にMRI検査で脊椎の並びもキレイで問題ないという結果を踏まえて、改めて別の病院の血管外科を紹介してもらった……その日、この医師から電話があり「手術を受けられるとして、落ち着くのは秋頃ですかね。その頃お電話でしても構いませんか?術後どのように変化したのか知りたいので、よろしくお願いします。」と、どこまで熱心なのだろう。私は勿論二つ返事で「こちらこそよろしくお願いします」と返答した。まだ一度も出会ったことのない症例だった様で、この機会を大切にしてくださる医師がいるなら明るいと感じた。

医師から医師へ

新たな病院の血管外科に係った。先述の整形外科の医師からの引き継ぎでレポートも前向きに見てくださり、「これまで扱ったことのない症例です」「自然治癒が望めない症例なのでスポーツをやめるか、手術をして望みを繋げるかの二択ですね。」と言われた。スポーツから遠ざかることは私には耐えられないことだから、手術という選択しかなかった。そして、この症例を何件も扱っている関東の病院医師との繋がりがあるとのことで、福岡の地で手術を受けることに決めた。そうでなかったら、関東の病院のセカンドオピニオンを受けるところだった。

調子を崩してからは何かスポーツに関われることを……と思って春にトライアスロンTO第3種審判講習を受けていた。(地元の大会は入院と重なり参加できないのだが)もしも競技者として関われなくなったなら、TOでアスリートや大会を応援したいと考えている。

脱線したのを戻す。病院での次の行程は証拠堅めの諸々の検査。造影CT、MRI、レントゲン、血液検査も。そしてようやく手術の日程が決まった。
5月から始まった謎解きは9月にようやく解答に辿り着き、10月でゴールする。
そして、このゴールは新たな始まりになる。


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