【佐山聡】ネタと思われている動画の真意を説明する
前置き:人の頬を張り倒したり罵倒する動画を紹介しています。行為者の意図は別にあるのですが、この前置きをあらかじめ置くべきと考えました。
まずはこの動画です。動画サイトではネタ扱いされるのですが、この真意を長いこと説明したいなと思いつつ資料がそろっていませんでした。
行為者である佐山聡氏の意図が伝わる部分までアップされている動画がアップされていましたので、これでだいぶ印象は変わると思います。
ただ、どうしても「もう少し踏み込んだ部分」の説明をしたいと以前から思っていました。私自身の理解が足りない面があると思っていますが、それでもできるだけ論理的に説明します。
1.メンタル:「思いっきり」の部分
最初の動画でミットを蹴っている人、実は最初の蹴りは全力が出ていません。というのも大体の人は自分にリミッターをかけていて、無意識のうちに自分の力に枷がかかった状態でアクションをしています。つまり「自分が思う自分の全力」より自分の実力は上(それも随分上)です。
そのリミッターを外すための手法として、罵倒したりビンタをすることでアドレナリンを出させているわけです。アドレナリンをガンガン出すことは体に良くない側面もあるのですが、まあプロで勝ちたいならやむなしなんですよね。
ただ、月謝を取ってプロを育成するためのジムならそれでも良いのですが、私が所属していたジムは基本友人関係で成り立っている(つまり所属メンバーが基本同格)ので、そうそう罵倒するわけにはいきません。なので問い入れている手法はウェイトトレーニングのそれ。
ノリのいい音楽流してミット打ちのときとかはガンガンにノセていくわけです。とにかく3分間全力。
それも本人の思う全力じゃなくてその底に眠る本来の力を引き出すことがポイントですから「カモンカモンカモンカモン!」「行ける、もっと行ける!」「お前の力はそんなもんじゃない!」「まだまだまだまだ!」「スピード落ちてきたよもっともっともっと!」「オイオイオイ、もっと底まで!」とか声をかけていきます。
…それで一度自分のリミッターを破ると、そのリミットブレイクwした力が割と通常モードで出せるようになります。そうしたら眠ってる力そのものも上がりますので(振り出しに戻って)さらに力を引き出すわけです。以下繰り返し、ということで。
そんなわけで、こんな練習をやってたら音楽の趣味そのものが「調和を破る」的な音楽ばっかり聴くようになりました笑
2.単純に「蹴り」技術的な部分
実は、蹴りについては割と多くの人の認識が違ってる部分があります。
「蹴り」を最初に学ぶとき、対象物が何もない状態で蹴りのフォームを学ぶことから始める人が大半だと思います。
最初の入り口としては間違ってません。
だけどそれだけじゃ惜しいんです。もったいない。
というのも、それだけだと「バランスを崩さない」ことだけ考えてしまってどうしても腰が回転しきらない。相手に効かせるための体重移動が少なすぎるんです。最初の動画の人の蹴り方がまさにそれ。
比較説明用として、やはり本人の動画が良いと思います。
ポイントとしては状態の入り方。最初の方の入り方とは明らかに異なります。腰をひねって体重を入れて蹴り、対象物に力を伝えたことを利用してそこから腰を戻して足を素早く戻すこと。
このタイプの蹴りは、対象物に当たらなかった場合「蹴った本人は一回転する」くらいでちょうどいいです。つまり練習方法として、対象物なしで蹴る稽古をするのではなく、ミットやサンドバッグがありきの練習となります。
もちろん、相手も動いて攻撃してくるのが前提ですから、牽制として体制を崩さない蹴りを使うのはアリです。でも必中の状況であれば、確実に体重と衝撃を伝えて「効かせる」蹴りを使わないのは明らかにもったいない。
前述の動画はちょっと昔のなので、最新の資料はこちらです。
私ごときが言うのはお恥ずかしいくらい、お二人ともものすごく巧いです。
堀口氏のほうの蹴りは空振った際一回転してますが、空振る=相手が間合いにいないから次の対処を間違えなければよい、と完全に理解した上で腰を入れて「確信をもって」カーフキックを入れてるのがホントすごい。
そして、体重の乗せ方とか衝撃とかそういう意味での究極レベルはこちら。
この動画だけ見ると誤解するのですが、金沢選手滅茶苦茶巧くて強い選手なんです。なんというか「金沢選手が将棋をしようとしたら、相手が『最初から飛成でかつ取られない駒を持ってた』状態」といいますか。
10年間で100回くらい見てますが本当に体の使い方から何から何まで究極の蹴りで、飽きることはありません。
格闘技やらなくなって何年もたちますが、やっぱり書いちゃうんですよね(笑)