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共同研究を活用したマーケティング分析 トライアルならではの実験環境(後編)

トライアルグループでは先に紹介した宮若プロジェクトをはじめ、地域や大学、各メーカー等との横連携に積極的に取り組んでいる。今回は株式会社トライアルカンパニー・サントリー株式会社・慶応義塾大学 経済学部 星野ゼミによる共同研究の事例として、サントリー株式会社から発売されているビール商品「パーフェクトサントリービール」の販促に関する取り組みを紹介していく。その詳細について、慶應義塾大学 経済学部 教授の星野崇宏さんとサントリー株式会社 ショッパーマーケティング担当寺井夏子さんにお話を伺った。

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リアル店舗ならではの実験環境

星野さん

「パーフェクトサントリービールが成功した要因は、やはりトライアルさんの店舗で訴求の出しわけの実験ができたことが大きいですね。ECサイトなどオンライン上でのABテストは一般的な手法かと思いますが、トライアルさんではスマートショッピングカートでリアル店舗でもこのような実験が出来るのは大変貴重だと思っています。
特に、スマートショッピングカートで表示できるクーポンはその場ですぐに利用していただけるので、効果が見えやすい。レジ前に設置されるような紙のクーポンやレシートに印字できるクーポンだと、一度家に持って帰ってもらって、次回の来店時にまた持ってきてもらう必要があるのがネックです。実際にカート上と紙でそれぞれクーポンの出しわけの実験もしたのですが、やはりスマートショッピングカートで出したものの方が、効果が高いです。

これまでのマーケティング研究はそのほとんどは実験室実験やアンケート調査でしかなく、リアルな売り場で実験することはほとんどされていないのですが、トライアルさんと組むことで実際の購買場面で検証をすることが叶います。店舗で取得できるデータが整備されているからこそ、適切なターゲティングに基づいた施策が実施できるのだと感じました。
それに加え、メールマガジンやLINE公式アカウントの会員様向けの発信などあらゆるタッチポイントを活用させていただける他、画像の変更などこちらからの要望に対してフレキシブルに対応してくれるので、こんな環境は他にないと思います。」

寺井さん

「感覚で「きっとこうだろう」ということが、データを活用し、仮説検証をすることで社内外に対しても説得力を持てる内容になりました。今回の実験を起点に、営業部、事業部含めた全社を動かすきっかけになり、食連動という新訴求に繋げることができたのは大きな成果です。実は当時放映していた旧訴求(糖質ゼロ)のTV CMより、トライアル店舗内のサイネージで流していた「うまいものを我慢しない」の訴求の方が、売上に繋がる効率が高かったこともわかりました。
2023年の4月には、サントリー生ビール という新しい商品が登場しています。

サントリー生ビール

社内のビールカテゴリーにおいて各商品どのようにポジショニングしていくか等を、2023年度の共同研究として星野先生にご相談しているところです。」