【ホラー】破傷風について小学生にわかるように復習していくよ【震える舌】
映画にもなった感染症
破傷風(はしょうふう)は1980年に映画にもなった感染症です。題名は「震える舌」。
YouTubeにもありましたので、グロめの映像が苦手な方はお控えください。ボクは見ていません……。
ホラータッチではありますが決してフィクションではなく、実際に発症していた感染症です。
破傷風について
<概念>
破傷風菌は急性の感染症で、グラム陽性嫌気桿菌です。嫌気とは、空気が苦手。桿菌(かんきん)は棒状の菌という意味です。
めっちゃ余談ですが嫌気性の細菌は臭いの元になります。
外毒素がヒトの中枢神経(脳・脊髄)を傷害することで、随意筋(※後述)が痙攣することが特徴です。
感染することによる致死率は50%です。
<疫学>
感染症法の分類では、破傷風は5類感染症に分類されます。
<病態>
破傷風は嫌気性の急性感染症です。外傷などがある傷口から菌が侵入することで感染します。
嫌気性の菌である破傷風は、空気を嫌がり空気に触れる状況では生きていられません。つまり、空気がないところ……例えば水遊びをしていたとき、土遊びや畑仕事等空気がないところで傷口から侵入します。
すると、強力な外毒素が中枢神経を傷害します。中枢神経が傷害されたら、どうなるのでしょう?
<症状>
受傷後は4〜7日、または4〜5週間の潜伏期があります
創傷部周辺の筋肉が緊張したり、痙攣(けいれん)したりします
受傷した側の四肢(手手足足)反射が亢進します
下顎筋(=咀嚼筋……側頭筋・咬筋・外側翼突筋・内側翼突筋の4つ)が強張り、食いしばったままとなり嚥下(飲み込む)困難となります
項部硬直、つまり頚部の筋肉が緊張し、便秘、頻脈(脈速い)が現れます
随意筋が痙攣し、開口傷害(牙関緊急、痙笑)、後弓反張が現れます
わずかな光や音の刺激で筋痙攣が誘発されます
重要な項目を復習していきますね。
受傷した部分から中枢神経(脳・脊髄)に外毒素が侵入していく過程で上記の症状が現れます。項部硬直などはまさに典型的な症状。
便秘、頻脈については「なんで??」って思う方も多いでしょう。
これは自律神経が機能しなくなってくることから、消化器系や循環器系の調節ができなくなっている証左です。
また、随意筋とは自分の意志で動かすことができる筋肉を指します。
随意筋が痙攣することで口を開くことに関する症状が現れます。
牙関緊急(がかんきんきゅう)とは歯を食いしばること。
痙笑(けいしょう)とは口を開くことができず表情筋が痙攣し、結果不気味に笑ってるみたいように見えます。
そして後弓反張(ごきゅうはんちょう)は背筋(起立筋)が痙攣しのけぞる体制になります。ちなみに、痙攣発作中は意識清明(覚醒していること)ので、激痛で辛いのだそうです。
<検査>
検査法としては、傷の既往の有無、そして筋肉の痙攣があるかどうかを調べていきます。
<治療>
治療はまず外傷部位を切開し洗浄します。
そして毒素を中和するため破傷風免疫グロブリンを投与します。
抗菌のため、ペニシリン系の注射を投与します。
<ワクチン>
怖い感染症だと植え付けてしまったかもしれませんが、現代ではワクチンにより減少しています。
赤ちゃんのときに投与する三種混合ワクチンがそれに当たります。
三種混合ワクチンは「ジフテリア(D)」「百日咳(P)」「破傷風(T)」を予防する目的があります。
これは予防接種(A類疾病)とされ、日本においては努力義務が課せられています。A類疾病に分類される疾患は以下のとおりです。
ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ(急性灰白髄炎)、麻疹(麻疹)、風疹、結核、日本脳炎、水痘(水ぼうそう)、ヒトパピローマウイルス、B型肝炎、ヒブ(Hib:ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)
ちなみに、上記の三種に加えて「ポリオ(IPV)」予防を加えた四種混合ワクチンも主流になっています。
国試の問題を解いてみよう
破傷風について誤っている記述はどれか。(あ第14回-76)[臨床医学各論]
筋肉のけいれんが特徴である。
内毒素により発症する。
外傷後の発症が多い。
病原体は土壌中に存在する。
回答
2.内毒素により発症する。
※破傷風は外傷などの傷口から菌が侵入する「外毒素」により中枢神経が障害される感染症です。
それと破傷風により後弓反張と言って身体がのけぞりますが、その体幹の筋肉について解説しています。よろしければこちらの記事もご覧ください。
以上、つらつらと書いてきましたが、それでもまだ映画を見れる勇気がない……。初めて映画をご覧になった方はコメント欄で感想を教えていただけると嬉しいです。
それでは、ご覧いただきましてありがとうございました!
またねー。