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大流行のマイコプラズマ肺炎って、どんな病気?【臨床医学各論】

猛威を振うマイコプラズマ肺炎。とってもガンコな咳だけでなく、胸の痛みがあったりする比較的若い方に罹患する肺炎の一種です。

今回は呼吸器系の機能をおさらいした上で、マイコプラズマ肺炎について掘り下げていこうと思います。

呼吸器官の構造

そもそも呼吸器の構造ってどうなっているか、カンタンにまとめてみます。

①上気道

まず口や鼻といった器官、鼻腔、咽頭、喉頭が上気道にあたります。背骨でいうところの第6・7頚椎の高さにあたります。

外気を流入するために、毛で大きなゴミを取り除いたり、空気を温めて気管支等をビックリさせないようにしています。

②下気道

次に気管、左右の気管支が下気道です。
なお、気管支は終末細気管支、呼吸細気管支の移行部位に細分化され、第4・5胸椎の高さにあたります。

これら上気道、下気道で炎症が発生すると「気管支炎」と呼ばれます。

③肺胞

肺胞はガス交換をする部位です。このガス交換部位での炎症が「肺炎」と呼ばれます。

そして最後に胸膜。

以上の構造になっています。


呼吸器官の防御機構

成人の1回あたり換気量は約500ml、1分で約16回。これを計算すると、1日換気量は約1万1ℓとなります。

これだけの換気を行う際に大切になるのが、呼吸器官を無菌状態に保つことです。菌のない状態を保つために、以下の4つの排除機構を持っています。

①気道の分岐

②線毛運動

中枢気道を覆う上皮の80%は線毛のある多列上皮または円柱上皮です。これら上皮細胞1個あたり200の線毛を持ち、それらが1分間に1,000回の速さで動く液状膜をつくり出します。

線毛運動が痰として喀出したり、咳により咽頭へ押し出しています。
線毛ゴイス

③気道系

気道系表面にはIgA、リゾチーム、好中球、マクロファージが分泌され、侵入したウイルスや細菌と戦います。

④肺胞

呼吸の深層でガス交換をする部位である肺胞では、IgGによる防御作用が働いています。


呼吸器疾患の種類

主に肺にまつわる疾患は大きく次の4つに分類されます。

①感染性呼吸器疾患

上気道炎、かぜ症候群(ライノウイルス、アデノウイルス等)、インフルエンザ、急性気管支炎、肺炎、肺結核、肺非結核性抗酸菌症(NTM症)などがあります。

新型コロナウイルスや今回ご紹介するマイコプラズマ肺炎もこれにあたります。

②COPD(閉塞性呼吸器疾患)

慢性的に気道が閉塞し呼気時の呼吸困難となる疾患、つまり息(二酸化炭素)が吐き出せなくなる疾患です。

肺気腫、慢性気管支炎、アレルギー性疾患(気管支喘息等)などがあります。

③拘束性呼吸器疾患

何らかの原因により肺胞胞隔に炎症、繊維化(間質性肺炎の一種)が起こります。めっちゃカンタンにいうと、肺胞を包む壁がカチカチになって壊れることにより重篤な呼吸障害が起きる疾患です。

突発性肺線維症、塵肺(アスベスト肺)等があります。

※間質……肺胞の壁と壁のスキマを指します。間質性肺炎は肺のコンプライアンスが低下します。コンプライアンスの低下とは、肺胞壁が繊維化し固くなるため柔軟性を失い、膨らみにくくなることを指します。

④その他の呼吸器疾患

その他、呼吸器疾患を羅列します。

気胸、肺癌、気管支拡張症、睡眠時無呼吸症候群、咽頭癌、扁桃巨大症、胸膜中皮腫、肺塞栓症などがあります。


※気胸についてはまた別記事で必ず書きます。


マイコプラズマ肺炎について

お待たせしました、感染性呼吸器疾患に分類されるマイコプラズマ肺炎。
いきますよーっ!!

〈好発年齢〉

若年成人に多い疾患です。

〈症状〉

潜伏期は2~3週間で、消化管症状もあらわれます。

ウイルス(正確にはウイルスと細菌の中間的存在)による経気道感染が原因で、肺のコンプライアンスが低下します。

マイコプラズマ肺炎の場合、間質性の中でも限局的に肺を侵します。限局的とは肺の一部だけ、という意味です(↔︎びまん性)。

頑固な「乾性咳嗽」が続くのが特徴です。

乾性咳嗽とは、つまり乾いた咳(セキ)のこと。痰が絡まないため、異物を外に出すことができなくなります。乾燥しているので「コホコホ」「コンコン」「ケンケン」といった特徴的な咳となります。夜間に咳が多く出ます。

また胸痛を伴い、痰は少なく白色痰で膿性痰はありません。

<治療>

マクロライド系を使用し、ペニシリン系は無効となります。

<まとめ>

以上、マイコプラズマ肺炎についてご紹介しました。

ちなみに、街の鍼灸院、鍼師きゅう師はこのような現代医学についても多義にわたり知識を持っています。患者さんに適切な処置ができるよう、病院への案内も含め判断してくれます。

「まだ病院に行くほどでもないかな……」といったときでも、是非鍼灸院を訪ねてみてくださいね♫

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