こんにちは。
「財前教授の総回診です」(唐沢寿明バージョン)でおなじみの山崎豊子『白い巨塔』では、医局制度の問題点、教授ポストの熾烈な争い、患者との向き合い方などについて描かれていました。
これに対して、最高裁判所の内幕を明かした瀬木比呂志『黒い巨塔』という作品もあります。白衣を着る医者と黒の法服を着る裁判官が対比されているのでしょう。
フィクション作品ですが、著書の中では原発訴訟をめぐって、電力会社に有利な判決を下すために最高裁判所の長官が権力を行使する様子が描かれています。
実際に最高裁が人事権を使って、すべての裁判官の判断を統制しようとすることがあるのでしょうか。前提として、そもそも裁判官には、強い身分保障が与えられています。
原発訴訟に関して、2015年4月、福井地方裁判所の樋口英明裁判長(64歳)は、「新規制基準は緩やかすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されない」として、原発の運転差し止めの仮処分を認めました。その後、樋口裁判官は名古屋家裁に赴任して定年を迎えることになります。
また、裁判官の再任拒否という問題も指摘されています。
2005年に、横浜地方裁判所の井上薫判事は、判決文が短すぎるとして問題となり、最高裁の下級裁判所裁判官氏名諮問委員会が再任について「不適当」と答申したことがありました。
その後、井上判事は、再任願いを取り下げて退官することになりました。
これらの事例から、最高裁による人事権を通じた統制ではないのかという意見がありますが、実際のところはわかりません。
最後に、『黒い巨塔』の中では大学教員がちょいちょいディスられています。
反省します。
では、今日はこの辺で。また。
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