福祉用具の世界 その2「生活に合わせた車いすの選び方①」
こんにちは。Tresです。
今日は生活に合わせた車いすの選び方について、お話をしてみたいと思います。
①まず自走式と介助式、どちらにするかを決める
腕の筋力が十分にあり、走行の際に必要となる状況判断が問題なくできる場合は、まず自走式を検討します。
また腕の筋力だけでは自走が難しい場合でも、足漕ぎを併用する事で自走ができる方もいらっしゃいます。
自走の際に手と足を使う事は、ご利用者様の筋力の向上又は維持にも繋がりますので身体状況の見極めはとても大切です。
そして腕の筋力がほとんどない、使用の際は介助者の方が必ず後ろに付くという場合は介助式を選びます。
介助式は手で車輪を回すための取っ手が付いておらず、車輪が小さい事が特徴です。
自走式よりも軽量且つ小型で、小回りがきく機種が多いです。
②車いすの重量
車いすの重量は機種によって様々ですが、最近は自走式でも10kgを切るような超軽量の車いすもよく見られるようになりました。
では車いすは軽ければ軽いほど良いのでしょうか。答えはNOです。
車体が軽ければ軽いほど、オフロードを走行した際に振動が身体に伝わり易いという欠点があるからです。
また軽量化のために本体フレームの溶接を最低限にしたり、背と座のシートに用いる芯材やクッション材を抜いている機種もあります。
こうした機種は総じて乗り心地が良くないので注意が必要です。
車いすに長時間座る方や乗り心地を重視される方は、多少重くてもフレームやシートがしっかりした機種を選ぶ事をお勧めします。
逆に通院や外出の時に短時間だけ使う、介助者が高齢の方で車いすを押したり、持ち上げる事が大変といった場合は、車やタクシーからの積み下ろしが楽になる超軽量の車いすが重宝します。
③エアータイヤとノーパンクタイヤ
一昔前までは車いすのタイヤと言えばエアータイヤが主流でしたが、最近はノーパンクタイヤが標準装備されている機種も増えてきました。
ノーパンクタイヤは文字通り、空気は入っていません。タイヤ内に硬質ゴム、ウレタン、特殊ポリマー樹脂などがみっちりと詰まっているため、鋭いものを踏んでしまってもパンクしません。こまめに空気を入れる必要もなく、メーカーさんが謳うメンテナンスフリーという言葉は何とも魅力的ですね。
しかしながらノーパンクタイヤもまったく欠点がないわけではありません。
一つ目はエアータイヤよりもタイヤ内の密度が高く、オフロードを走行する際に身体に伝わる振動が強くなる事です。
エアータイヤの場合は、チューブ内の空気が振動を抑えるクッションとしても機能してくれているので、ノーパンクタイヤと比べると乗り心地が良くなります。
二つ目はタイヤの密度が高く、硬いという事は車いすのレバーブレーキにも影響が出る事です。
タイヤが硬いとレバーブレーキをかける際に、より強い力が必要となります。
利用者はもちろん、介助者の方も関節リウマチなど手に負担をかけられない疾患はないか、筋力がなく、手に力が入りにくい事はないかをきちんと確認した上で導入しましょう。
また余談ですが、ノーパンクタイヤはパンクはしませんが摩耗はします。
タイヤの表層は当たり前ですが、擦り減りますので日常点検はしっかりしましょう。
タイヤの擦り減りが原因で、タイヤの交換が必要になった場合、エアータイヤよりも修理コストが高くなるケースが多いので車いすを自費で購入する場合は注意しましょう。
とはいえエアータイヤも使用頻度が多い場合、よくパンクさせてしまう方もいらっしゃいますので、どちらが修理コストで有利かは判断が難しいところです。
基本的に使用頻度が少ない又はタイヤが痛みにくい屋内で使用するならば、ノーパンクタイヤの方がコストパフォーマンスが良いのではないかなと私は考えています。
それでは今回のお話を要約したいと思います。
詳細は下記の通りです。
①利用者と介助者の身体状況をきちんと把握し、自走式と介助式のどちらにするかを決めましょう
②車いすを使用する場所にオフロードが含まれる場合は、車いすの重量やタイヤの種類に注意しましょう
③ノーパンクタイヤはメリットとデメリットをきちんと把握してから導入しましょう
今回はここまで!