本。愚者の渡しの守り

今日も本の話。『愚者の渡しの守り』(アーネスト・スウィントン著、武内和人訳、国家制作研究会)を読んだ。

この本は、「ボーア戦争(1880年〜1902年まで起こった南アフリカでの戦争。著者は1899〜1902と書いているので、第二次ボーア戦争だと思われる)」を参考に執筆された戦術学の入門書だ。

主人公は夢の中で、「愚者の渡し」と呼ばれる場所にいる。両岸が崖の蛇行する川の中で、唯一対岸に渡ることができる場所だ。主人公の任務はこの場所を守ること。部下50名と共に敵をこれ以上先へ進ませないようにしなければならない。

主人公は何度も任務に失敗するのだが、その度に教訓を得て、また最初に戻る。タイムループする。前回までに得た教訓から試行錯誤し、最終的に任務に成功するという話だ。

正直、最初の主人公の作戦はお粗末なもので、戦術に明るくない私でさえ、読んでいて「オイオイ…」と言いたくなる所が沢山あった。案の定散々な結果に終わるわけだが、最後の作戦になると私ではとても思いつかなかった場所に陣取って任務を成功させていた。

1900年頃の話ということもあり、現在主流で使われているであろう武器は使われていない。どちらかというと原始的でゲリラ戦に使える戦術なのだと思う。

ただ、地形を正しく使い、相手を正しく読む、戦術の基本のようなものは学べると思う。戦術書ではなくただの読み物として読んでも面白い。戦争の話ではあるが、あくまでループする夢の中での話で戦術に焦点が当たっているので、そこまで血なまぐさくなく読みやすかった。

こういうジャンルは読むことが無かったけれど、これからは読んでいってもいいなと思える一冊だった。あまり数は無さそうだし、ここまですっと読めるものはなかなか無さそうな気はするのだが。自分なりにこうかなと考えた上で読むと自分には無かった視点を知れて面白い。

こういう本をただ読み物として楽しめる時代に感謝したいな。


ではまた明日。