「この商品パッケージ、ユーザーはどう思ってるの?」そんな思いを知るサービスを作ってます
はじめまして。私たちは『Trending百見聞』というサービスを企画・開発している部隊です。「なにそれ?聞いたことない……」ですよね。
私たちは、統計学で使われる「多変量解析」という解析手法を使った調査・解析サービス『Trending.net(トレンディングドットネット)』を主に企業に提供し、開発部門の上流工程で使っていただいています。
そのサービス自体を簡易化し、製品開発以外の分野でも使ってもらおうと試みていて、多くの方に知ってもらうため印象調査を使った事例マガジンも発信しています。それが『Trending百見聞』です。
しかし、「なにかに使えそう!」とは思われても、「使わなくても仕事はできてるから、別に要らないかな……」という感想を持たれて終わったり、「なにに便利なのかいまいちわからない」と言われてしまいがちです。
どのようにサービスを提供すればもっとうまくいくんだろう。私たちが設定しているユーザーターゲットは、果たして正しいのだろうか。疑問もたくさん生じています。
どこかにこのサービスを必要としてくれる人がいるに違いにないと信じつつ、試行錯誤する様子をnoteに残すことにしました。
まずはサービスについて紹介します。
なんらかの商品に関わってるみなさんがターゲット
このサービスは、「多くの人が『商品の見た目の印象』に対して、どういう印象を受けるか」という潜在的な深層心理を知ることができます。
例えば、ネットショップで販売する人、企画や開発に携わる人が、「商品が狙っていた通りのお客さんに渡っているか」「商品に込めた思いを、正しく受け取ってもらえているのか」などの疑問を持つと思います。
仕事でデザインを判断する必要がある人が、「そのデザインがお客さんにとってどの程度正解だったのか」「コンセプトが正しく伝わっているか」を不安に思うような場面も少なくないと思います。
そんな「みなさん」をターゲットとしたサービスです。
印象調査をし、結果を解析します
具体的になにをするかというと、「見た目の印象」の調査です。
印象調査・解析をコンサルティングをしつつおこない、お客様の要望に沿って結果を導いていきます。
例として、「20代女性はどんな印象のシャンプーを手に取ってみたいと思うか」を調査した結果を紹介します。商品の価格や効能等の要素を考慮せず、見た目の印象だけを調べました。
調査には、これら20種類のシャンプーボトルの画像を使います。
この画像について、20代女性100名にURLを配布し、以下のようなフォームから「画像ひとつずつに対して感じた印象の調査」を回答してもらいます。ここでは、画像に対してイメージを測る「SD法」という手法を採用しています。
集まった回答を分析すると、3種類の視点が出てきました。20代女性はシャンプーボトルを見る際に、こんな要素に強い反応を示していることが分かりました。
この3要素のバランスが、それぞれのシャンプーボトルの印象を決めているということになります。
また、これらの要素を軸としてこんなポジショニングマップを作ることができます。
ポジショニングを分類・整理すると、シャンプーボトルの印象を5つの方向性に分けることができます。この方向性の特徴をピックアップし、グループ名を付けます。
このように分類すると、「どのシャンプーボトルが人気!」という単純な人気投票ではなく、「どんなグループがあって、どんな印象を与えているのか」が分かります。
また、「手に取ってみたい」という感想を持たれたシャンプーのほとんどが「スタイリッシュグループ」と「アーティスティックグループ」に入っていることが分かりました。
そこから「手に取りたいシャンプー―ボトル」の具体的な特徴をも導き出されます。
更に特徴を整理すると、「シンプルなもの」と「特徴的でインパクトの強いもの」が、手に取りたいシャンプーボトルであると言えそうです。これらは対照的ですが、どちらも洗練度が高く、フレッシュな要素を含んでいます。
また、「スタイリッシュだがフレッシュ感は少ない」ものは、「手に取りたい」という動機付けには弱いようです。
以上のことから、
「20代女性は、洗練度が高くフレッシュなシャンプーボトルを好む」傾向にある
という結果が導かれました。
この手法で実現できること
冒頭にも書きましたが、この調査は統計学で使われる「多変量解析」という分析手法を活用しています。「感性工学」という学問に基づいており、例えば「戦争が起こる前と起こった後では何かに対する心はガラッと変わる」というような調査にも用いられたりもしているようです。
頭の中や心の中でなんとなく抱いている思いを統計的に処理し、以下のようなことを可能にします。
商品に対して潜在的に感じている「なんとなく〇〇っぽい」というような思いから、人気がある原因を探る
「こんな類の方向に、こんな気持ちの人たちがいますよ」とハッキリさせることができる
「こんな人たちにはこんなものが好まれる」というポジショニングから提案物を考える
「売れるものは何か」ではなく、どんなものを好む人がいるかを知った上で「このポジションにいるお客さんを選ぶ」というやり方を採れるので、多様なユーザーを見据えたうえで判断することができます。これまで気付かなかったユーザー志向を発見したり、商品特性を見つけることもできます。
課題「どう活用してもらうか」
さて、どんな人がこれを必要としているのでしょうか。こんな人ではないか、という想定はしています。
しかし、仕事に取り入れてもらうとなると結構ハードルは高いようです。
私たちのこの試行錯誤をたくさんの人に読んでもらうことで、新たな発想も生まれるかもしれません。「このサービスを必要としてくれる誰か」に届くことを目標に、このnoteを更新していこうと思います。