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真冬の北海道歩き旅31 【網走でのひととき】

前日までのあらすじ↓
・網走に到着
・早速網走の方達から温かい歓迎、激励
・かわいいシマエナガを作った!

63日目:網走ひとりさんぽ

目を覚ましたのは午前7時半。カーテンを開けると、相変わらずのどんより空だ。
今泊まっているのは網走市にある宿「アニマの里」。隣にはちょっとした牧場が広がっていて、そこには白馬が一頭だけいる。

プーちゃん。毛がモサモサな老馬だ。でも餌はよく食べる。

その名も「プーちゃん」。プー太郎が正式名らしいが、みんなからはプーちゃんという名で親しまれている。プーちゃんは今日も牧草を食べて、森の中に消えてゆく。
今日は、訳あって自分だけで網走の市街地に行く事に(喧嘩とかじゃ無いよ)。なんとなく甘ったるいのが食べたいと思い昼過ぎに入ったのは、商店街の一角に店を構えるカフェ「ハイブリッジ」。

お世話になったカフェ「ハイブリッジ」。気さくな店員さんやお客さんに囲まれて、楽しいひと時を過ごさせてもらった。

お店に入ると、若いスタッフさんから突然英語で話しかけられた。

「ニホンジンデス」

と言うと、スタッフさんは気さくに笑いながら「ごめんなさい」と言ってくれた。無理もない。こちらも無精髭をはやしまくっているので、ぱっと見では外国人に見えなくもない。
そうして頼んだのパフェとコーヒーは甘〜くて美味しかった。

チョコパフェとコーヒー。あまうまぁ〜…

すると、このお店のオーナーさんやお店で居合わせた他のお客さんとも旅のこと、網走のことで話が盛り上がった。
その間にお客さんは来ることがなく、ゆっくりとお話しすることができた。こういう、現地の人たちとお話ができる時間が、自分にとってとてはとても大切な時間であり、また旅の醍醐味でもある。

お話をしていたら、「面白い話を聞かせてもらったから」と、コーヒーをサービスしていただけた。粋でかっこいいオーナーさん、ありがとう。

そうして宿に帰って風呂に入ると、宿のオーナーさんとよなよなお酒を飲みながらお話をしたりした。気がつけば時計の針はすでに23時。楽しい時間ほど過ぎる時間はとてつもなく早い。

ビールを飲んでいると、オーナーさんがピーナッツをくれた!ウマウマ。

64日目:いざ網走監獄へ

外では雪混じりの雨が降っている。今日も相変わらずの曇天、流石にうんざりしてきた。そろそろ青空を見たいものだ。
今日は、網走のトップオブ観光地「網走監獄」に行く。宿から歩いて20分もかからない場所にあるので、徒歩で行く事に。

網走監獄。ぐしゃぐしゃな雪に足を取られながらも歩いて来た。

入ってみると、中国人の観光客で賑わっていた。そういえば、そろそろ春節の時期だったか…大変な時期にブッキングしてしまったなぁ。
お土産屋さんには、漫画「ゴールデンカムイ」の作者の色紙が展示されていた。白石…!

ゴールデンカムイの色紙!

ここ網走監獄では、明治の初めから昭和の終わり頃までに使われていた実際の監獄をはじめとする様々な施設や部品が展示されている。
規模の大きい、いかにもメジャーな観光地ではあるが、ここでは網走監獄をはじめとする網走の歴史の多くを知ることができた。

開拓時代に使われていた、囚人の番屋。見るからに寒そうだ。

北海道を開拓・整備し始めた明治中期、ロシアが北からから侵攻することを恐れた明治政府は、大勢の囚人達を未開の地に投入して伐採、整備をさせた。
その環境は劣悪そのもので、過酷な労働、不衛生、栄養失調などにより、数百人規模が死亡するという悲劇。結果、札幌から各地方へ続く道のほとんどが完成し、北への守りを固めることはできたが、その代償として大勢の命が失われてしまった。そんな過去がここ北海道にはあった。

監獄内の浴場。相方さんも奥で体を洗う。

前回の記事で、「国道創設殉難慰霊の碑」があるという写真を載せたが、それはこの悲劇に見舞われて亡くなった囚人と看守たちの魂を鎮めるために建てたのだろう。にわかには信じがたい話ではあるが、実際に起きていた惨事だ。知れただけでも良かったと思う…。

というわけで、網走監獄をめぐり楽しむ。

実際に使われていた独房。
囚人はこうしてご飯を食べていたようだ。人形がなんともリアル。

とてつもなく広い。東京ドームが3.5個分もあるらしい。どうりで広い訳だ。
この日はもう歩き疲れてしまったので、その後に町で晩御飯を買い、大人しく宿に帰った。

この季節にだけ現れるかまくら独房!入ってみたら存外温かい…かも?

65日目:北の民族と激安ごはん

網走停泊最終日。この日も相変わらずの曇天…青空を見るのは諦めた。
網走ではまだまだ見たいものがたくさんあった。そのうちの一つ、「北方民族博物館」は特別気になっていたので行ってみる事に。
まずその前に、網走監獄からさらに登ったところにある「流氷館」へと行ってみた。

雪が降ったので、朝から除雪をお手伝い。
流氷館。吹雪が吹き荒れていてとても寒い

ここ流氷館は、厳冬のオホーツク海に現れる流氷のメカニズムや、流氷の恩恵を受けている様々な動物たちを紹介、展示している。

流氷のメカニズム。図解でわかりやすく説明してくれる。

なんとクリオネもその中にいた!ちっちゃい。1円玉の半分くらいのサイズ。

クリオネ!ちっさ!!

中国人をはじめとするいろんな国々の人らもツアーできていたみたいだ。みんな興味津々。

ディスプレイを夢中で見る中国人観光客。みんな熱心に説明を聞いていた。

正直なところ、時期も悪く流氷館は混み合っていた。資料はとても充実していて、解説もわかりやすく見応えはあるけど、落ち着いてみて回ることはできなかった…。
そうして、流氷館から徒歩10分の所にある、「北方民族博物館」へとやって来た。

北方民族博物館!観光客はほぼ居らず、いるのは自分たちと欧米系の人たちが数人のみ。

この博物館には、北半球の様々な民族文化を紹介している。もちろんその中にもアイヌ人も含まれていて、極寒の中に生きる民族の知恵がたくさん詰まった博物館だ。

10種以上の北方民族が紹介されている。展示してある衣装も様々で見応えあり。

自分が北方民族に関心があるのには理由がある。
この北海道旅を冬に敢行するに至った理由の一つに、北極冒険家に少しばかり憧れを抱いていた節があった。単独無補給で、ソリを引き、スキー板を履いて、氷上を歩く彼らは、誰にも縛られず何にも囚われない、偉大な人たちに思えた。そんな極地冒険家の多くは、現地の原住民族から様々なアドバイスを受け、時には共に暮らし、時には共に旅をしたりしていた記録もある。そこから、北国の民族に関心を持つようになった訳だ。

雪国には欠かせないスキー板やカンジキ。
実際の毛皮で作られた防寒着。動物の毛皮は耐水性、保温性が備わっていて、現代のアウターに引けを取らないほどの実用的価値がある。

極寒で過酷な大地の中で生きる彼らにとって生物や自然現象の価値観というのは、発達した文明の中で生きる自分たちには想像し得ないほどに、神秘的な存在なんだろう。そんな思考に憧れる。

雪原や氷河の上で営む彼らが、いかにパワフルで、ワイルドで、タフな人たちか、深く知ることができた。来場者もほとんどおらず、ゆっくり見ることができたのもあり、

「マジで大満足…!!」

そんなわけで、午後は網走の街へと向かった。道の駅やその周囲を散策したのち、現地の人らからおすすめされたご飯屋さんへと行く事に。
その名も、「ホワイトハウス」。

夜、街灯に照らされる網走の商店街。
レストラン「ホワイトハウス」。見た目は渋いが、入る価値は大有り。

ここホワイトハウスでは、低価格で美味しいご飯がたくさん食べられると聞いたので気になってはいた。
17時、開店と同時に入店。早速注文してみると…

うんまぁ〜〜〜〜〜!!!そして多い!!
美味しいのでお腹にすらすら入ってゆく。

「なんだこれはァ…!!」

なんとこれ、2700円。信じがたい…ウニとイクラが大量にドンの上に置かれて、ポークソテーも付いて、さらには特大味噌汁までついてこの価格。そして美味いのだから驚き。注文してから10分もかからず出てくるのにも驚愕だ。

そうしてバスで宿まで戻ると、オーナーさんが待っていたと言わんばかりに玄関からお出迎えしてくれた。
明日から出発する旨を朝に伝えたら、「今夜は特別に飲み交わしましょう」と美味しい日本酒を引っ張り出してくれた。これからの旅のこと、おすすめの宿、様々なことを教えてくれた。気さくでのんべれでいいおじさんだ。アニマの里、また来たい宿が増えてしまったなあ〜。

オーナーさんと晩酌。幸せなひと時だ。

そんなわせで、網走には5日間の滞在となった。
観光都市なだけに巡る場所はたっくさんある。温かい人たちに迎えられ、とても充実した日々をここでも過ごすことかできた。正直ここを離れるのがとても面倒くさい…寂しい。それでも先へ行かなけりゃならない。

そしてこれこらは、遂に知床半島へと向かう。
日本極東の秘境。動物たちの楽園、知床半島。そこではいったいどんな出会いや、どんなイベントが待っているのか。楽しみでならない。

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