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二月十四日前後(その6)
家が見つからない。
気に入った物件は瞬く間に同じような貧乏外国人に契約されてしまう。携帯をね、持ってないからレスポンス悪いんだよね俺。家もきまらねーし適当で安そうな場末のヌードル屋へ。パッタイなどを食べる。
とても美味しいじゃないか。今でこそパッタイなんて日本のスーパーでも売っているが俺が初めて食べた時は日本での知名度も低いし、料理名の語感だけで何がなんだか分からないものを注文し恐る恐る食べたものだ。あのドキドキ感は面白かった。なんでも調べられるってのも便利だけど味気ないな。パッタイの味は濃い。食べながら音楽が聴きたくなった、店内のラジオも悪くないが、ちょっと気分じゃない。好きな曲が聴きたくなったのでiPODをカバンから取り出しイヤホンをつけてシャッフルボタンを押した。
LKJだ。ダブとポエトリーディングを融合させたこの世界に残る大発見を聴きながら食べるパッタイは別に普通だった。
ところで今キーボードを眺めて気がついたけどLKJってタイプする時に見事に並んでるね。ダブはしょうもない思考を鮮明にさせる。
とかなんとか言っていたら夕暮れ時よ。まだ2時なんだけど、気持ち的に暗いというかとにかく夕暮れなの。こんな時は楽しくビールでも飲んで遊びたい。ただ、缶ビールってのは乙じゃない。いけ好かないね。
ここはダブリンで、俺はビールが飲みたい。
やる事は決まったんで適当なパブでギネス飲んでサッカーの試合を観て楽しむ。セリエAだね。
特に起伏のない試合が終わるころ何故か腹が減ってきたのでペルシャ料理。
悪くない、悪手ではないはず。
とか通ぶってたんだけど結局肉はケバブ寄りのが、ちゃっかりサーブされてきちゃった。週に3回は食べてるな俺。そんな、いま、この町で1番アッサーラムな俺の目の前にはチャパティ。その上にラム肉、トマト、レタス、紫キャベツ、たまねぎ、マヨネーズとケチャップが存在感マックスであらわれた。馴れた手つきでチャパティとピタパンの中間くらいのこの小麦の円盤をくるりとラッピングして下の方をしっかり押さえてかぶり付く。うまし。玉ねぎが素晴らしいバランス感を持っている。肉だけでは暴力的で、チャパティとキャベツだけだと素朴すぎる。ここに玉ねぎの甘みと食感が入ることによりうまみが上がり立派な料理になるんだよとこの間0.5秒。かじりついた瞬間に脳がうまいと判断しその後は無心で食べまくるイートターミネーター俺。ごちそうさん。お腹いっぱいになったし帰りに缶ビール買ってフラフラとホステルへの帰り道で音楽をまた聴くとイヤホンから島津亜矢が流れてきた。
大器晩成明日にかける
夢と希望も大空も
雲が流れる悠々と
だってさ、やっぱ星野哲郎先生はいい歌詞書くね、明日は家見つかるといいなと思いニコニコ寝た。
食費込み雑費20ユーロ
宿泊費12ユーロ
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