思春期が終わらなくても

頭のおかしさを競うことが最近の若者たちの「終わらない思春期」ならば、このラジオにおける「終わらない思春期」とはなんなのだろうか。

みなさんは「思春期が終わりません！！」というラジオをご存知だろうか。ご存知でない方もご存知の方もお誘い合わせの上この駄文にお付き合い頂ければ幸いです。

やっぱりご存知だろうかって最強だなぁ。

さあ私が今回語りたいのは文化放送超A＆G+にて毎週日曜深夜25:30～放送中の「思春期が終わりません！！」というラジオである。みなさんはこのタイトルからどんなラジオを想像するだろうか。売り出し中のアイドル声優が体当たりで頑張る深夜バラエティ？中堅声優の趣味全開ラジオ？いいえ、これは声優界の童顔七不思議のひとり浅沼晋太郎(44)と、その経歴はまさに混沌 A＆Gの帝王 鷲崎健(46)と愉快な構成作家たちによる思春期が終わらない愛すべきおじさんたちのラジオだ。

私はこのラジオにここ1年ほどどハマりしていて、日曜日の夜は月曜日がどんなに憂鬱でも1週間どんなに疲れていても25:30まで起きて布団の中で聴いている。まああまりの多幸感にそのまま寝落ちコースなぁんて日もあったりなかったり。とにかく私はこのラジオのおかげで月曜の授業はぐっすりじゃなかった、1年間なんとか元気に生きてこれたと言っても過言ではない。それほど幸せになれる番組なのだ。

大方人気男性声優様のボイスで癒しを届けてらっしゃるんでしょうなぁ、なんて思っていませんか？残念ながらこの番組に人気男性声優・浅沼晋太郎はいない。そこにあるのは44歳の方向音痴で映画好きな愛すべきおじさんのありのままの姿だ。

おじさんおじさんとは言っても浅沼さんのお顔は全く44歳には見えず、日々顔面最強大感謝を申し上げているタイプのヲタクなのでそこは安心して頂きたい。

このラジオでは、普段、顔がいい！演技力が高い！ともてはやされている声優・浅沼晋太郎という兜を脇に置き、年齢相応な(思春期が終わらない)トークを繰り広げている。普段ニコ生などに出演すると、どちらかといえばツッコミ側の人間である浅沼さんが、鷲崎さんたちにいじられている姿はとても愛らしい。男をかわいいと思ったら負けと昨今よく言うが、声を大にして言おう。おじさんはかわいいのだ。

それにしても、このラジオの面白さをなんと表現したらよいのだろうか。毎回話す内容も面白いポイントも違う。平成生まれの私からすると、分からないネタばかりだ。おじさんにしかわからないあるあるネタで笑っているし、メールを読んでいて突っかかるポイントもまさにおじさん。

私がこのラジオから得た研究結果は「おじさんの笑い声には癒し効果がある」ということ。1週間、社会のありとあらゆる汚れを吸収しきった耳にはおじさんの他愛もない会話と豪快な笑い声がよく効く。なんかわからないけど笑ってるなぁ、あはははは、くらいのテンションがちょうどいいのである。

思春期が終わらない という言葉をふと思い出して考え直すと、このラジオの面白さがじわりじわりと伝わってくる。するめいかのように。

業界で活躍するお二人が、何本も番組を抱えるラジオパーソナリティ、今をときめく人気声優の鎧を脱ぎ捨て、芝居を、音楽を愛する、少年の心を忘れない、そうまさに思春期が終わらない姿を見せてくれる。

大人たちは私のことを思春期だという。思春期だから仕方ないね、思春期なんだね、と言う。でも、業界の中で尊敬され、仕事をこなしている大の大人だって、鎧を外せば心は思春期のままだ。

好きなことを好きなだけ、子どもっぽく話す。自分の面白いと思うことをとことんまでつきつめる。そんな2人をみていると、凝り固まった頭がほぐれていく。

おじさんの笑い声は今日も私の心に響く。今日もネタはよく分からないし、もっこすラーメンをこの時間に食べるなんて罪だなぁと思うけれど、私はこんな、思春期が終わらないままの大人になりたいなと思うのだ。

私も大人になった時、たとえ思春期が終わらないままであったとしても、こんなラジオがあったんだよ！と2人のように熱く語って、笑える日が来るだろう。それなら、思春期が終わらなくたっていい。