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【短評】「Cloud クラウド」モラルの境界線が曖昧になった世界の行き着く先は…

モラルの境界線が曖昧になった世界の行き着く先は地獄ですよ、という、キヨシ映画お馴染みのテーマが、この2024年にぴったり当てはまるなんてなんと皮肉だろう。(昨今の強盗事件もこのノリで行われているのかもしれない)

味方も敵もまともな人間はただの一人も出てこない。
全員が狂っていて、会話が誰にも通じない。
「君は何者?」「アシスタントです」。

普通に散弾銃が出てきたり、
普通にライフルが出てきたり、
普通にナメてたアシスタントが最強のアサシンだったり。
お金を稼ぐことは悪いことじゃないし、
ちょっとダーティでも転売屋には転売屋の事情があるし。
そのグラデーションが徐々に主人公と観客の常識を蝕んでいく。

物語の後半、大々的な銃撃戦へと突入し全く予測できない話の展開を見せるが、すでにそこは大きな不条理と暴力とに囲まれており、破綻ではなく地獄と快楽。もうそうなってくると惚れ惚れするのみである。

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